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ドリトル先生と幸せになる犬

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第一幕その九

「安心してね」
「わかりました」
「そういうことでね」
「多くの人はいい人ですね」
「それぞれ短所もあるけれどね」
 それでもというのです。
「いい人がね」
「大抵ですね」
「けれど本当に人でなくなった様な」
「そんな人もいますね」
「仏教では六道があるけれど」
 今度は仏教のお話をしました。
「人間は人道にいますね」
「六道の上から二番目だね」
「天道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道ってあって」
「人道は二番目にあるね」
「そしてその下にね」
「四つの世界があるね」
「生きもの、畜生になるけれど」
 先生は今度はペットも入る彼等のお話もしました。
「命は同じだよ」
「人間と同じ」
「その命を捨てるなら」
「もうそれで」
「そう、畜生道よりも下の」
 さらにというのです。
「餓鬼道にもね」
「堕ちるんだ」
「かなり酷いっていうけれど」
「そこに堕ちるんだね」
「そうなることもね」
 それこそというのです。
「あるよ」
「そう思うと怖いね」
「人間でありながら餓鬼になるなんて」
「餓鬼って本当に酷いから」
「そうなったら」
「もう終わりだよ」
 人としてとです、先生は悲しい顔で動物の皆に言いました。
「それこそね」
「そうだよね」
「その時点でね」
「餓鬼になったら」
「もうね」
「もう皆から忌み嫌われて」
 そうなってというのです。
「そしてね」
「それで、だね」
「誰からも相手にされなくなって」
「避けられて」
「そして死んでもだよ」
 死ぬまで嫌われてというのです。
「餓鬼に生まれ変わるんだよ」
「そうなるなんて」
「もう嫌だね」
「絶対になりたくないね」
「嫌われて死んで」
「そして餓鬼になるなんて」
「こんな残念なことはないからね」
 だからだというのです。
「命を捨てる様なことはしたら駄目だし」
「良心は持っていないとね」
「さもないと餓鬼に生まれ変わるね」
「そもそも生きながら餓鬼だし」
「そうなっているから」
「地獄に堕ちるより悪いかも知れないよ」
 こうも言う先生でした。
「餓鬼道に堕ちるなんてね」
「餓鬼になったらずっと餓えるんだよね」
「いつも餓えと渇きに苦しめられる」
「そうなるんだよね」
「餓鬼になったら」
「そうだよ、そして誰からも嫌われる」
 餓鬼はというのです。 
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