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捨てられても迷子になっても

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第二章

「あちこち病気になっていて子供も産んだことがあるみたいだな」
「病気で前の飼い主に捨てられたんだな」
「それで施設のサイトで里親が募集されていてな」
「お前がそれを見てか」
「家族にしたんだよ、凄く優しくて人間好きでな」
 ホッカーは笑顔で話した。
「いい娘だよ」
「そんないい娘を病気だから捨てるなんてな」
「酷い奴もいるな」
「全くだ、フレイヤの前の飼い主と同じでな」
「そんな奴は最初から飼うな」
「全くだ」
 二人で怒って話した、この時はそうなったが。
 フレミングはアルゼンチンに旅行に行って道を歩いている時に黒髪で広い額を持つ優しい顔立ちの中年の男が連れている黒い背中で茶色の毛の垂れ耳の大型犬を見て言った。
「いい子だな」
「ええ、パキタっていいまして」
 犬を連れている男性が言ってきた。
「雌なんですよ」
「そうなんだな」
「ずっと何処に行ったかわからなかったんです」
「逃げたんだな」
「はい」
「ワン」
 ここでそのパキタも鳴いた、飼い主はその彼女を見つつフレミングに話した。
「僕はナベイラ=オコタといいますが」
「そのあんたのところにか」
「ずっと探していたんですが見付からなくて困っていたら」
 そうしていたらというのだ。
「ある保護施設の飼い主を探している犬の写真を見ていたら」
「その子がいたか」
「はい、家族と離れて凄く悲しくて塞ぎ込んでいたらしいですが」
 それでもというのだ。
「家族ですぐに施設に連絡してうちの犬だと話して飛んで行ったら」
「実際にそうでか」
「パキタも尻尾を振って飛びついてきました」
「よかったな、実はな」
 ここでフレミングはフレイヤとシアーシャ=ローナンのことを話した、そのうえでオコタに言った。
「あんた達は立派だな」
「当然じゃないですか?」
「その当然のことを出来ると立派だよ」
「そうですか」
「犬と一生いることがな、いい話を聞かせてくれて有り難うな」
「いい話ですか」
「よかったぜ、じゃあ今からステーキを食うけれどな」
 アルゼンチンといえばそれというその料理をというのだ。
「いいソースを貰ったぜ」
「このお話がですか」
「最高のソースだぜ、有り難うな」 
 笑顔でこう言ってだった、フレミングはこの時最高のステーキを食べ。
 アメリカに飼ってフレイヤとホッカーそれにシアーシャ=ローナンにこのことを話した、すると彼等も最高のソースを貰うことになった。


捨てられても迷子になっても   完


                    2021・7・18 
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