それから 本町絢と水島基は 結末
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10-⑶
水泳部の合宿を終えて、直ぐ、入学式で、恒例の入部勧誘をしていた。今年は新2年生が張り切って、前に出て、声を掛けている。慎二が、活動の成績とか部員の紹介を書いたチラシを作ったので、それも配っていた。他の部でそれをやっているのは、天文ぐらいなものだつた。
絢は、道着を着て勧誘の声を掛けていたのだが、こっちの方にやってきて
「葵 頑張ってー」と、葵の方に向かって、手を振って、又、戻って行った。
葵もびっくりしたみたいで、手は振り返していたみたいだが、声は出なかったみたい。
「なに? 今の」と慎二に向かって、言っていたが、慎二は笑っているだけだった。
僕も、わざとらしいと思ったが、絢なりに思ってくれたのだろう。結局、入部の名前を書いてくれたのは、女の子2人だけだった。今年は、経験者が居ないみたいなので、厳しい。
帰り、僕達同期の4人は潮食堂に居た。葵が合宿の時の清算に来るというから、併せて、食べに来ていたんだ。
「なんかさー 成人式の時もだったけど、久々に見る絢ちゃんって、綺麗になったよな。色気っぽくなってさ、男の視線を集めているよね。吉川すずりもいたけど、やっぱり、地方ではな」
「慎二 どういう眼で見てんのよ モトシの前で」と美波は、イラついていた。
「そんな 俺は、褒めてんるんよ 美波 妬いているんか」
「私も、思ったのよ あの人って、すごく透明感があるのよね 私にしたら、すごく、魅力的」と、葵も言っていた。
「モトシ 大変だよ 掴まえておくの」と、今度は、僕に言ってきた。
「大丈夫だよ あんな、いい女だけど、モトシにぞっこんだよ なあ モトシ」
「ああ、僕達は固いし、鍵も掛かっているからな もう、絢の話はいいよ それより、今年の大学対抗どうする? 碧先輩も合宿来なかったしな」
「美波には、バタフライに専念して欲しい。自由形は美咲に任せて、宏美は背泳ぎ頑張っているし、私も平泳ぎ頑張る。今年は、番外で、混合リレーも3チームでやるって言うし」と、葵が言い切った。
「おい 男は、どうなるんや」と、慎二が言ったが
「男は、ふたりで頑張って 混合は、背泳ぎいないから、エントリー出来ないじゃない」
「お前 冷たい言い方するのー」
「しょうがないじゃぁない 慎二やモトシみたいにカッコいいのいないんだから」と葵も返した。
「だよなー 宏美に性転換させるかー すみませーん」と、慎二もおどけていた。
「あんた あのふたりの面倒もみてよ 慎二のこと慕っているし 今年は試合も出るからね」
「わかりました 部長」と、又、おどけていた。
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