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八条学園騒動記

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第六百二十話 甘酸っぱさがその十一

「階級や立場の違いがあってもね」
「皆同じ人間だから
 彰子もそうだと応えた。
「だったら」
「そう、軍隊でもね」
「同じ場所でね」
「同じものを食べるものだよ」
「そうよね」
「士官室ってあるけれど」
 どの艦にもこの部屋は必ずある。
「昔と違ってね」
「今はお食事はそこでは食べないわね」
「連合ではね」
「士官の人達が詰めていたり当直の時にいるお部屋ね」
「そうした場所だからね」
 連合の士官室はというのだ。
「別にそこで何かを食べるとか」
「そういうのはないわね」
「休憩の時におやつを食べることはあるけれど」
 そして飲むこともあるというのだ。
「けれどね」
「そうしたことはないわね」
「そこでお昼とか食べることはね」 
 こうしたことはというのだ。
「ないよ」
「そうよね」
「けれどエウロパだと」
 菅はあらためてこの国のことを話した。
「士官室で士官の人達の為に作られた」
「そうしたものを食べてるのね」
「そうなんだ、昔からね」
「同じ船の中にいてもなのね」
「そうだよ、それで音楽も放送されて」
 艦隊司令等高官が乗艦している艦艇ではオーケストラの演奏が実際に行われる、放送どころではないのだ。
「それでね」
「優雅になのね」
「食べられるんだ」
「凄い違いね」
「それが貴族ってことだね」
「同じ人間じゃないのね」
「平民とはね」
 そう考えられているというのだ。
「全くね」
「酷いわね」
「だから議会も」
 こちらもというのだ。
「平民と貴族じゃね」
「上下で」
「連合は上下共普通に選挙でだけれど」
 議員達はそうして選出されるがというのだ。
「エウロパだと上院は貴族院だよ」
「中央でも各国でもよね」
「地方でもね、貴族ならね」
 その階級にあるならというのだ。
「選挙もなくてね」
「議員になれるのね」
「それでずっとだよ」
 即ち終身でというのだ。
「政治家やれるんだ」
「凄い差ね」
「全くだね」
 菅もこう言った。 
「階級でね」
「そっちの方がずっと酷いわね」
「野蛮なんてものじゃないね」
「私もそう思うわ」
「というかね」
 ここで七海はこんなことを言ってきた、その言ってきたことはというと。


甘酸っぱさが   完


                2021・5・16 
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