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夢幻水滸伝

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第二百四話 穀倉地帯からその十一

 その港を観てだった、コープチッティはスーンに話した。
「この港はどうも」
「伝え聞くシンガポールと比べますと」
「どうしても他国の船が少ないですね」
「あちらは別格です」
 シンガポールはというのだ。
「やはり」
「そうですか」
「太平洋随一の港でして」
「国際港としても有名ですね」
「ですから他国の船もです」 
 こちらもというのだ。
「かなりです」
「多いですね」
「そうです、この港は海と川の港で」
「タイの船は多いですね」
「それで栄えていて他国の船もです」
「タイ第一の港だけあって」
「出入りはしています」
 このことは事実だというのだ。
「やはり」
「そうですね、ですが」
「シンガポールについては」
「そうした場所なので」
「違います、あの国はその貿易と金融で生きています」
「比べものになりませんか」
「どうしても、ですが港があれば」
 それならとだ、スーンは笑顔で話した。
「それだけで違います」
「多くの富を生み出してくれますね」
「はい、そして」
 それでというのだ。
「我が国も潤してくれます、川の方の港もです」
「同じですね」
「ですがこれからも」
「港を整えていきますね」
「そうします、それとですが」
 スーンはさらに言った。
「実は民から差し入れがありました」
「そうなのですか」
「フルーツを。ドリアンもあります」
「ドリアンもですか」
「そうです、後で食べますか」
「それでは、日本にいますと」
 コープチッティは起きた世界でのことを話した。
「美味しいものは多くあって」
「ドリアンはあっても」
「非常に高いですし」
「食べられないですね」
「そうそう。しかしこちらの世界では」
「タイですから」
「食べられるので」
 それでというのだ。
「有り難いです」
「それでは」
「食べましょう」
「今から」
「おう、そこにおったか」 
 ここで少女の声がした、そして。
 二人はその声の方を見ると国木田碧がいた、コープチッティは彼女の姿を見てその目を丸くさせて彼女に問うた。
「何故国木田さんがこちらに」
「ちょっと手下達と別れて婿を探しにのう」
 広島弁での返事だった。
「それでじゃ」
「そうなのですか」
「それでここに来たが」
「それでお婿さんは」
「見付からんのう」
 碧はこう返した。
「これが」
「そうですか」
「それでこんな達のどっちかはどうじゃ」
 碧は二人を見てこうも言ってきた。
「わらわの婿にならんか。毎晩愛し合おうぞ」
「いえ、折角ですが」
「遠慮させてもらいます」
 二人同時に碧に答えた。 
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