それから 本町絢と水島基は 結末
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
7-⑺
今日は、神戸に行って、そのまま私も泊ることにしていた。朝から、大阪城を下から見て、大阪駅前にある本屋さんで、みんなで専門書を漁っていた。私達、地方だから、そんなに専門書は置いてないからだ。
三宮に着いて、お昼はパン屋さんにして、夜は中華街でと、電車の中で話し合っていた。サンドを食べて、駅の反対側に出て、北野坂を登って行った。
「こっちの方は、坂道なのにお店屋さんが並んでいるとこ多いのね」と、詩織が言っていたが
私達は、坂の上にある観光地ばっか、行くんだから、そうなるよね。私は、モト君とこの道を歩いたんだ。もう、1年になるのか、あのアクセサリーの店はまだあるんだろうか。あの階段、そうだ、あの木陰で思いっきり抱きしめてくれたんだ。私の大切な場所。あれからも、私、ずーと幸せだわ、モトシ、今頃、何してんだろう。
「ねぇ ねぇ あそこ、結婚式場じゃぁないの いいなぁ あんなとこ どんな人が使うのかしら」と、茜は珍しく感激していた。
「うん 素敵かも ねぇ 絢もこんなとこで式あげるの?」と、詩織が振ってきた。
「私 そんなことわかんないわよ まだ、決まってもいないし」
「あー そうか まだ、約束してないんだ」
「そうよ そんな話したことないし」と、返しながら、そーなんだよ まだ そんなこと言われたことないんだ と、私、ちょっと動揺してたかも。
英国館に入ろうとしてた時、茜にTelあった。私達に先に行ってて、と言っていたけど、茜は私達には見せたことのない、やわらかな笑顔で話していた。館から出てきた時
「小野原さんから 写真出来たって ・・・」後の言葉に詰まってた。
「それで・・どうしたの?」と私が問い詰めると
「持ってくるって もう一度会いたいから、直接渡すって」
「えー 会うの? 持ってくるってー」と、詩織も激しかった
「うぅん あなた達に叱られると思ったから、送ってくださいって、言ったわ 冷たかったかしら、嫌われたかも」
「うん 安心したけど あかね 昨日から、忘れてなかったんだ・・ どうしょう」私も、何て言って良いか
「カッコ良かったもんね でも、会ったの一度きりだしなぁ」と詩織も言ってたけど
「会った時から、目が合って、笑顔に魅かれたんだ。話してると・・私、多分、好きなんだと思う」
「私、そういう経験ないから、わからないけど とにかく落ち着いて、考えればー」
私達は、先にホテルに向かおうと、センター街を歩いて、本町の先の海に突き出しているようなホテルにチェックインした。少し、休んで、ロープーウェイに乗って、神戸の夜景を見るつもり。
上に登ると、見事な夜景が広がっていた。港沿いに大きな船なんかも停まっていて、家族連れもいるけど、カップルも多かった。
「あのふたり、良い感じ 女の子がべったり寄り添ってさ こんなロマンチックなとこなら、その気になっちゃうよね」と詩織が羨ましがっていたけど
「その気って その気?」って茜が詩織の顔を覗き込んだ
「うん その気って その気よ」と笑いながら、答えていた。
うん、私もモトシと来て居たら、その気になるかも。もう、茜はあの人のこと忘れたのか、それとも心の中にしまって口に出さないのか。中華街のお店でに行き、3人でいっぱい食べて、飲んでしまった。ほろ酔い加減で本町を歩いて、ホテルに戻る時、最初、ケーキ屋さんとか見ていたけれど、
「あれ可愛いー」と詩織がランジェリーのお店を見つけて「ねぇ ちょっと寄ってこ」と中に入って行った。
「こんなの身につけていたら、自分も可愛くなるし、男の子も喜ぶわよ」と言っていたが、茜は
「私、こんなの恥ずかしい ダメ」と言っていたが、
「茜 見せるんじゃあなくても、自分で楽しめばいいじゃない」
と、詩織に無理やり選ばされていた。私も、その気になってしまって、キャミスリップとか可愛いのをと選んでいた。
ホテルの手前にポツンと教会らしきものが建っていて、茜が
「私、こんなとこにあこがれる 海の近くだし 部屋も良いよね 想い出になるし」と言っていたが、私も、それも良いなと思っていた。
「えへー ウチなー小籠包で火傷しちゃった そのあと、マーボー食べたから口ん中痛くて モトシ どこいっちゃたん」モト君にTelしてた
「どこって 家にいるよ 絢 酔っぱらってんかー」
「うぅん ビール飲んだけどなー 今なぁー みんなスてシャワーしたん タオルの下 スッポンポンやでー 羨まスい?」
「絢 何言ってるの この酔っ払い」と、詩織がスマホ取り上げて
「ごめんね ホテル帰ってきたら、酔いがまわってきたみたいで ちゃんと寝かすから安心して おやすみなさい」と、言って、チュッとして切った。
「詩織 今 何かしてなかった?」
「何にもしてないよ それより、ちゃんと髪の毛乾かさないと、明日大変だよ 何にも、着てないんでしょ、風邪ひくよ ほらっ 真っ直ぐ座って 乾かしてあげるから」
ページ上へ戻る