子猫達を連れて来た母猫

　そしてウサギは夫婦の飼い猫になったがボランティアとして猫の里親を探したビンセンド＝ダム赤髪で大きな耳と細長い顔を持つ青の目の長身で痩せた身体の彼は夫婦をウサギと共に自宅に招待して話した。傍には白の顔のダッグスフントがいる。
「この子、ジョンというんですが」
「雄ですね」
「はい、この子の犬用のドアからです」
「ワン」　
　そのジョンも鳴いた、ここでだった。
　黒とグレーの猫が来てその後ろに五匹の子猫が来た、一匹は黒でグレーが一匹で三匹は三毛であった。
「最初にこの子、お母さんのタラが入ってきまして」
「ニャア」
　母猫はビンセントの足下に来て鳴いた、その彼を見つつさらに話した。
「それで僕に会うと一旦家を出て」
「それで、ですか」
「終わったと思ったら一匹ずつです」
　今度は子猫達を見つつ話した。
「黒の子は雄、グレーの子は雄で三毛の子は全部雌でマウイ、モアナ、オハナ、キコ、レイラーニといいます」
「ニャア」
「ニャン」
「ウナア」
「ウニャア」
「ミャア」
「タラが一匹ずつ咥えてドアを潜って家の中に連れて来まして」
　そうしてというのだ。
「私をずっと見上げてきました」
「それで、ですか」
「皆保護しました、そのことを思い出して」
「うちの子達もですか」
「里親を探させてもらいましたか」
「そうでしたか」
「この子達も幸せになりました」
　タラと彼女が連れて来た子供達はというのだ。
「私が家族に迎えて」
「そうしてですか」
「妻も喜んでいます、猫はこの人は大丈夫と思ったら」
「子猫を預けるんですね」
「そうした人います、つまりお二人は」　
　まさにというのだ。
「そうした心の持ち主ということですね」
「猫はわかるんですね」
「そうなんですね」
　夫だけでなく妻も言った。
「それで私達の前に連れて来た」
「そうなんですね」
「そして私のところにも。そこまで信じてくれるなら」
「それならですよね」
「その信頼に応えたいですね」
「そうですね、よかったですよね」
　ビンセントは笑ってこうも言った。
「皆助かって」
「ええ、本当に」
「そう思います」　
　夫婦もその通りだと頷いた。
「それではこれからも」
「ウサギを大事にしていきます」
「子猫達とも定期的に会わせて」
「仲良くしてもらいます」
「そうして下さい、信じてくれたんですから」
　その信頼に応えよう、ビンセントは夫婦に笑顔で応えた。そうしてそれから猫達のことを楽しく話した。猫達はそんな彼等のところで犬と共に幸せそうにくつろいでいた。


子猫達を連れて来た母猫　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２１・６・２３