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おぢばにおかえり

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第六十四話 阿波野君と先輩その三十一

「僕こうした人間ですからね」
「執念深くて陰湿で?」
「それで残忍で卑劣なんで」
「何度も言うけれどそうは見えないけれど」
「自分でそう思っています、とにかくそうした人間ですから」
 だからだというのです。
「僕は自分は絶対に正しいとかおもわないです」
「そのこと自体はいいことね」
 私もこう思いました。
「少なくとも独善になるよりは」
「自分が絶対に正しいっていうのは独善ですよね」
「まさにね」
 このことはその鳥と思うので阿波野君に答えました。
「絶対によくないことよ」
「はい、ですからそうしたことはないつもりで」
 それでというのです。
「僕自身としてはです」
「今みたいに言うのね」
「はい、自分が絶対に正しいと思った人はです」
「間違ってるって思った人に容赦しないのね」
「多分僕以上に残酷な人になれますよ」
「先輩がそうだっていうのね」
「実際あの人滅茶苦茶残酷じゃないですか」
 この反省していても容赦しない性格はどうにかならないかしらと思いつつ阿波野君の言葉を聞きました。
「そうしたことが出来るんですから」
「じゃあ阿波野君はしないの?」
「嫌いな相手だったらもっと酷いことする自信があります」
「じゃあ駄目じゃない」
「僕はそうした人間ってことです」
「全く。本当に先輩のことが嫌いなのね」
「ご本人から直接聞いて嫌いになりました」
 もう絶対に変わらないといった口調での言葉でした。 
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