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猫の母子の再会

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第二章

 朝に病院の前に箱が置かれていた、ナカムラが妙に思い箱を開けると。
「ニャア~~~」
「ウニャ~~~」
「ミャ~~~」
「ニャ~~~ン」
 四匹の子猫がいた、三匹は黒とダークグレーの虎模様で一匹は黒猫だった。見たところ生後三週間程である。
 ナカムラは子猫達を病院の中に連れて行き出勤してきたスタッフ達に話した。
「病院の前にいたけれど」
「捨て猫だな」
「全く、動物病院だから助けてくれると思ってだろうな」
「命なら大事にして欲しいよ」
「自分が捨てられたらどうなんだ」
「それは嫌だろうに」
「全く、そんなことも考えないで捨てるなんて」
 誰もが苦い顔になった、だが命を預かる仕事をしている者として見捨てる選択肢なぞ最初から存在せず。
 まずは病院の中で飼い主を探すと一人の中年女性のスタッフが申し出た。
「なら私が四匹共引き取るわ」
「そうしてくれるか」
「じゃあ頼む」
「子猫達を宜しく」
「世話をしてくれよ」
「ええ、そうさせてもらうわ」
 そのスタッフは約束した、こうして猫の件は一件落着かと思われたが。
 夕方の病院の前にだった。
 一匹の猫がちょこんと座っていた、その猫は黒とダークグレーの虎模様の猫だった、ナカムラはその猫を見てすぐに察した。
「今朝拾った子達のうち三匹がそっくりだな」
「じゃあ母猫か」
「子供達を探しに来たのか」
「それでここにいると察しをつけたか」
「そうなのか」
「じゃあ試しに会わせてみよう」 
 ナカムラはアメリカでのことを思い出してこうして実際に親子かどうか確かめることを提案した、他のスタッフ達もそれはいいと頷いてだった。
 そのうえで実際に会わせてみた、すると。
「ニャア」
「ナア」
「ウニャア」
「ウニャン」
「ミャア」
 子猫達はその猫に自分達から歩み寄ってだった。
 身体を摺り寄せ顔を舐めてもらった、そして。
 ミルクも飲ませてもらった、ナカムラも他のスタッフ達もその光景を見て確信した。
「間違いない、母子だ」
「会ってすぐにこれだと」
「もうそうとしか考えられない」
「この子達は親子だ」
「じゃあ親子全員で幸せになってもらおう」
「そうなってもらおう」
 こう話してだった。
 母猫はマリアンヌ、黒とグレーの虎模様の三匹の雌猫はパオラ、カチュア、エストと名付けられ黒の雄猫はマルスと名付けられた。 
 そうして飼いたいと申し出たそのスタッフに引き取られた、ニュージーランドでも猫の母子の再会と幸せを手に入れる姿を見てだった。
 ナカムラは思わず笑顔になった、それで家に帰ると家族にこのことを話しながら美味い酒を飲んだ。幸せを噛み締めて飲む酒は最高だった。


猫の母子の再会   完


           2021・6・16 
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