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イベリス

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第九話 部活も入ってその十

「そうしてね」
「南海に移籍して」
「阪神にだったのよ」
「そうだったんですね」
「あとそこに西本さん出てるけれど」
「ああ、野村さんが敵と言ってる」
「その人もその頃はまだ阪急だったのよ」
 このチームの監督だったというのだ。
「それが近鉄に移るのよ」
「そんな昔ですね」
「僕達のお父さんお母さんがまだ子供か生まれてないよね」
 部長は笑って話した。
「勿論顧問の先生もだよ」
「生まれてないですか」
「そんな頃のことでね」
「大昔ですね」
「昭和四十八年なんてね」
 それこそというのだ。
「もうね」
「大昔で」
「そんな風だったんだ」
「そうですか」
「ホークスは本当に昔はね」
「大阪のチームだったんですね」
「大阪球場ってところが本拠地だったんだ」
「まさに大阪ですね」100
 咲はそう言われてしみじみと思った。
「名前からして」
「大阪の難波にあったんだ」
「難波、ですか」
 そう言われて咲はピンとこなかった、それで首を傾げさせてこんなことを言った。
「東京で言うとどんなところですか?」
「何処だろうね」 
 部長の返事は要領を得ないものだった。
「一体」
「わからないですか」
「僕も大阪行ったこと殆どないから」
 だからだというのだ。
「難波も詳しくないから」
「そうなんですね」
「東京にいるとね」
「やっぱり関西には詳しくなくなりますね」
「地元がこっちだと」
 東京ならというのだ。
「当然東京に詳しくなるよね」
「住んでいますし」
「そうなるよ、あと横浜とか川崎とか」
 そうした街もというのだ。
「時々行ってねわかる様になるね」
「あと千葉もですね」
「そうそう、千葉もあれで結構賑やかだから」
 部長は咲の言葉に応えて述べた。
「結構行くと楽しいしね」
「そうですよね」
「柏市なんかもいいよね」
「あそこもですか」
「あと船橋とかもね」
 千葉県のこの市もというのだ。
「いいよ」
「そうですか」
「あと神奈川だと横須賀もいいよ」
「海上自衛隊ですね」
「あそこもいいしね」
「東京以外もいいですね」
「そうそう、そうした街には詳しくなって」 
 そしてというのだ。
「関西にはね」
「住んでいないとですね」
「どうしてもね」
「知らなくなりますか」
「だから僕も大阪は殆ど知らなくて」
「難波もですか」
「知らないよ」
 そうだというのだ。
「大阪の簿価の場所もね」
「そう言ったら私もです」
 咲は自分もと答えた、事実咲は関西には殆ど行ったことがなく頭の中の地図の中学の教科書のままだ。 
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