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それから 本町絢と水島基は  結末

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6-⑵

 新学期が始まって、絢とはあまり会えなくなっていた。週に一度、土曜日、家庭教師のバイトを夜7時に終えるようにして、絢も店が7時までなので、その後会うようにした。キャンパスが離れてしまったので、家庭教師も断ったのだが、成績が上がってきたので、幸一郎君も高校から、私立に入れたいから何とかお願いしますと頼み込まれた。それで、週1回で良ければと、クラブの練習の後、勉強を見るようすれば、その後、絢とも会えると思ったのだ。

 4月になって初めて、訪れた時、富美子ちゃんが制服姿で出てきた

「どう 先生に見て欲しくて かわいいでしょ」

 目の前で、くるっと回って見せた。ジャンパースカートにブレザーだ。サイズが大きめなんだろうな。ちょっと長い。でも、今までの幼さは消えていた。

「かわいいよ 良かったね」と言ったが、絢も確かジャンパースカートだったはず、彼女の場合は襟元がリボンだったので、もう少し、可愛く見えた。

「今年は、幸一郎君が受験の年で、高校だけど同じ学校を合格しなきゃなんないんだ。だから、幸一郎君を重点的に見るので、富美子ちゃんの方は、あんまりかまえないかも知れない。もちろん、解らないとことかあったら、聞いてくれれば良いけどね。君はかしこいから、解るよね。自分で勉強してゆくんだよ」

「えぇー つまんないよー でも、側に居てもいいんでしょ」と不満そうだったが、この子は自分でどんどん勉強していくので、大丈夫だろうと思っている。

「先生、ご飯食べてってよー 今日は、寮で出ないんだろー」と、ありがたいんだけど、絢を待たせる訳にいかないので、急いで食べて、待ち合わせ場所に向かった。

 繁華街にある中央公園で待ち合わせしたんだけど、まだ、絢は来てなかった。土曜日のこともあって、何組かのグループが居て、歓声があがっている。新人の歓迎会の季節なんだろうな、僕らのクラブもそのうちやるだろう。

 絢が小走りでやって来るのが、見える。ゆったりとしたサロペットパンツで、長い髪の毛を両側に分けるようにして、いつものように結んでなくて、少し変えていた。

「そんなに焦ってこないでもいいのに 転んだら、どーすんねん」

「でも、遅れたら悪いやん 早よ、会いたいし・・」

「僕は向こうでご飯食べてきたんだ、絢、まだだよね」

「ウチはええでー 帰ったら何かあるしー その辺で、コーヒーでもこおて、座ってよーぅ」

 石畳みの商店街を少し歩いて、コーヒーを買って、途中にある公園で、座って話すことにした。

「ポスター出来てん 駅とか観光地にもう貼ってあるそうなんや まだ、見てないよねー」

「そーなんか もう貼ってあるん うまく、撮れてるんか?」

「うん すごいよー みんな可愛いの これ、自分なのかなぁーって いろんなとこで撮ったんだよ 3枚あるんよ」

「そうか 可愛いかもな」

「あんまり興味ないんだ モト君」

 帰り道は、歩いても、そんなに遠くないし、送って行くことにした。

「近いから、いいよ もう、ここで」と、絢は言ったけど

「いいよ 僕は、明日休みだし、独りじゃ心配やから あのさー いやらしい意味ちゃうねんけど、絢、胸 大きくなったんちゃう?」

「やだ 気づいたぁ この前、撮影の時、私小さいから、こっちのブラにしなさいって言われたの そしたら、大きく見えるんよね 今、それしてるの モト君、大きい方が好き?」

「いや 別にー そのまんまの絢が好きだよ」
 
 僕達は、お城沿いを歩いていたんだけど、つないでいた手を、僕の腕に組みなおして、絢が「こっち」と言って、お城の公園の中を通る道に引っ張った。少し、遠まわりになるんだけど・・。


 少し、暗い所には、カップルが何組がいたんだけど、絢は

「お願い 思いっきり強く抱きしめて ほしい」とポツリと言ってきた




 
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