FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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命は重い
前書き
隔週更新でやっていければいいなと思ってます|ョω・`)イケルカナ?
第三者side
「バーン様、ずいぶんと楽しんでいらっしゃいますね」
コロッケを片手に今にも崩れ去りそうな建物を見ながら、観光のように歩いている赤髪の少年に、オレンジ髪の少年が話しかける。
「楽しいに決まってんだろ?あの方に文句言われずに遊べるんだからよ!!」
「それもそうですね」
緑髪のポニーテールの少女もクスッと笑いながら答える。オレンジ髪の少年も同様で、小さく笑っていた。
「この国が盛んな時に来たかったなぁ」
「例の荒れ事ですか?」
「人間たちにも血気盛んな者が多いんですね」
そんなことを言いながら廃墟と化している建物が並ぶ地を見回っている三人。しかし、突然赤髪の少年が何かに気付き、その場に立ち止まった。
「どうしました?バーン様」
彼に合わせて二人も足を止める。バーンは少年の声が聞こえていないのか、明後日の方向を向くとニヤリと笑う。
「こりゃあずいぶんと楽しませてもらえそうだな」
「「??」」
何が彼をここまで嬉しそうにさせているのかわからず二人は顔を見合わせる。少年はそんな二人を気にすることなく、ゆっくりと視線の先へと歩き始めた。
「バーン様!?」
「どちらに行かれるんですか!?」
慌てて彼の後に付いていく二人。バーンは彼らに視線を向ける。
「面白そうな奴らがいるみたいだからな。死なない程度に遊んでやるか」
その言葉を聞いて彼の狙いがわかった二人は笑みを浮かべた後、小さくうなずく。
「命は重たいからね」
そんな意味深な言葉を呟くと、彼らはゆっくりと目的地へと歩を進めた。
シリルside
「え・・・それって・・・」
「どういうこと?」
訳がわからずにいる俺たち。そんな中、住民の皆さんもやはり意味がわかっていないようで、説明をしようにもできない。
「それが我々にもわからないんです」
「これだけ暑いのに農作物には影響もない上に家畜が死んでしまうことない」
「生活に困窮してはいますが、生きていくことは十分にできるんです」
普通なら食料不足に悩まされてしまうところなのだが、それが今のところ起きていない。住むところだけはどうしようもなくなりかろうじて雨水を凌げるこの家に全員で過ごしているとのことだが、それでもやはり異常だ。
「詳しく調べてみる必要がありそうだな」
明らかにおかしい今回の現象を受けて、真っ先に立ち上がるエルザさん。それはいいんだけど・・・
「調べるってどうやって?」
「誰かに聞いて回るわけにも行きませんし・・・」
気候のことなんて誰かに聞いて何かを掴めるわけはないだろうし・・・と思っていたけど、エルザさんは小さく首を振った。
「これだけの異常気象にも関わらず通常通りに食物が育っている・・・そんなことがありえると思うか?」
「まぁ・・・普通はないよね」
ルーシィさんの言葉に同調する。そんなことはどう考えたってありえない。となると自然と導き出される答えは・・・
「これを人為的にやってる者がいるんだろう」
自然に起きたことではない。そう思うのが普通ではあるんだけど・・・
「そんなことって可能なんですか?」
これが周辺地域だけならなんとかできるかもしれないけど、国全体・・・それもかなりの長期間に及んでいると思うとどうも信じられない。それはウェンディやグレイさんたちも同じようで、いまいちピンと来ていない表情を浮かべている。
「私たちの知る限りでは無理だろう。だが、もしかしたら何かしらの力を持っているのかもしれない」
「魔力を増幅させたりとかか?」
「それもあるけど、組織的に魔法を使えたりしたら・・・」
エルザさん、ナツさん、ルーシィさんがそう言う。一人では無理でも複数人数でなら・・・そう考えると、敵はかなり大きな組織なのかもしれない。
「それを調べるための調査か」
「そうだ。人為的なものなら、何かしら痕跡が残っているかもしれない」
組織が大きければ大きいほど、下までの教育は行き届き辛い。それは以前あった国王暗殺の時にわかったことだけど、エルザさんクラスになるとその辺も頭に入ってるんだな。
「もしよろしければご案内しますよ」
「よろしく頼む」
住民の方の申し出をありがたく受け入れ、外へと繰り出す。
「!!」
外へ出たと同時に感じた視線。すぐにそちらに目をくれるが、何もいない。
「どうしたの?シリル」
「いや・・・」
誰かに見られていた気がしたけど、気のせいだったのかな?そんなことを思いながら、先を行く皆さんを追いかけた。
第三者side
「へぇ、あれが噂の・・・」
赤髪の少年は住民にどこかへ案内されて行く人物たちを見送りながら何を思い出していた。
「アンクセラム様のとこの配下とその世界の住民の子か」
「ずいぶんと可愛らしい子ですね」
少年と共に木の上に身を潜めている二人もシリルを見つめながらそんなことを呟いた。
「他の者たちもなかなかの力を持っているようですね」
「どうしますか?バーン様」
彼らの会話を聞いていたため、これからのことを考えようとする二人。しかし、もっとも肝心なこの男は、呑気に大あくびをしていた。
「バーン様?」
「いいんじゃね?好きにやらせておけば」
予想外の反応に困惑の表情を浮かべる二人。てっきりすぐにでも相手をするのかと思っていただけに、やる気の無さそうな彼の言葉にどんな反応をすればいいのかいまいちわかっていない様子。
「あいつらがこの世界ではそれなりの実力者なんだろうけど、俺たちから見ればやはり劣る。正直戦いたい気持ちはあるが・・・」
深いタメ息をついた彼は空を見上げる。彼が何を考えているのか察した二人も、肩をすくめる。
「確かに・・・色々と面倒がありそうですね」
「アンクセラム様なら意外と見逃してくれそうな気もしますけど・・・」
これからどうするべきかを考える三人。頭を悩ませていると、赤髪の少年が静かに立ち上がった。
「とりあえず、後を付いていくか」
「調査の邪魔をしますか?」
「いや、それはいい」
少女からの申し出を断る少年。彼のその表情は、わずかにだが笑っているようだった。
「この世界の人間はどの程度の知力があって、どのくらいの閃きができるのか、見てみたいと思わないか?」
「相変わらず性格が悪い・・・」
相手には聞こえないようにと小声で呟くオレンジ髪の少年。バーンは聞こえているのかいないのかわからないが、これといった反応は見せずに歩き始める。
「お前らはどうする?自由行動で構わないぜ?」
「もちろん、付いていきます」
「何かあるといけないですからね」
続いて二人も立ち上がり彼の後ろへと付く。
「なんだ?俺が負けるかもって思ってるのか?」
「まさか・・・その逆ですよ」
オレンジ髪の少年の言葉に笑いながら嫌みのように返すバーン。しかし、少年は首を振ってタメ息混じりに答える。
「あなたが彼らを殺してしまわないかが心配なだけです」
少年の言葉に同調するように頷く少女。それを聞いたバーンは満足そうな笑みを浮かべ、前を行く魔導士たちを尾行し始めた。
後書き
いかがだったでしょうか。
原作部分がないと短く話を更新できるのが個人的に好きです。
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