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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十七話 日本にいることその六

「それでもなんだよ」
「心が人間でなくなっていて」
「そこまでなるとな」
「もうどうしても救われないんだね」
「犬畜生って言うけれどな」
「そこまではいいよな」
「生きものの何が悪いか」
 そもそもという言葉だった。
「人間よりずっと性格のいい子もいるな」
「そうだね、純粋で思いやりがあってね」
「そうだろ、修羅だってな」 
 犬畜生即ち畜生道の上の世界で人の下の世界だ。
「阿修羅は仏になってるな」
「八部衆のあの」
「それだよ、顔が三つあって腕が六本のな」
「あの仏様だね」
「滅茶苦茶強くて真面目でな」
「それで教えを知ったら」
「物凄く頼もしい存在になるんだよ」
 戦いしか知らない修羅でもというのだ。
「修羅もな、それで生きものもな」
「そうなるね」
「ああ、ここまでは救われると思っていいんだ」
「犬畜生と呼ばれても」
「そこまではな、けれどな」
「餓鬼になるとだね」
「もうどうしようもないんだ」
 どんな教えでも救われないというのだ。
「お前もそこまで堕ちた奴は見たな」
「残念ながらね」
 その連中然りだ。
「それなりにね」
「餓鬼はそこまでの存在なんだよ」
「どうしようもないんだね」
「人間として何の修行もしないで負の要素ばかり備えていってな」
「餓鬼にまでなれば」
「もうだよ」 
 それこそというのだ。
「人間はな」
「何をしても救われなくなるんだね、そういえば」
 僕はその心当たりのある人を一人思い出した、ここで注文が来た。今度は焼き鳥に蛸の唐揚げにイカゲソといったものだった。それに焼きそばもあった。
「旗らないで偉そうに言って奥さんに文句逃げられて」
「俺もその人知ってるな」
「親父が話してくれた人だった?」
「そうだったか?それでお寺の世話になってだろ」
「修行して仕事も世話してもらったね」
「ああ、それでもお寺の悪口言ってな」
 それも教えでなくて檀家体制とかどうでもいいものをだ。
「仕事も行かないで偉そうに言い続けてな」
「親戚の人の家に急に上がり込んで大飯食べて」
「金貰って生きていたな」
「誰にも感謝しないで文句ばかり言って」
「その人もだよ、今行方知れずだけれどな」
「餓鬼になってるんだね」
「その人には障碍者の人に怒られて殴ってやろうとか言ったりな」
 そうしたこともあったという。
「世話になった人に本当に感謝しなくてな」
「文句ばかりだね」
「そんなのでな」
「皆から見捨てられたよね」
「何の努力もしないでな」
「それで何かしても感謝もしないで」
 本当にそうしたものがなかった、恩知らずなことこの上ない人だった。
「それで悪いことされるとね」
「ずっと恨んでいたな」
「あれだよね、奥さんが家出た時」
 三行半を突き付けてだ。
「爪切りまで持って行ったとか」
「お前もその話を知ってるな」
「うん、インパクトあったからね」
 この話はだ。 
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