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イベリス

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第七話 入学式の後でその二

 母は咲にこう言った。
「じゃあ今日からね」
「うん、高校生活はじまるから」
「頑張ってね」
「そうするわ」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「三年間のことをいい思い出になる様にね」
「するのね」
「そうなる様にしてね」
「いい思い出ね」
「どうせ三年過ごすなら」
 高校でというのだ。
「やっぱりね」
「いい思い出ね」
「そうなるに越したことはないでしょ」
「そうね」
 咲も母のその言葉に頷いた。
「やっぱり」ね」
「ただ過ごすんじゃなくてね」
「いい思い出にしないとね」
「だからよ」
「この三年間」
「いい思い出になる様に」
 まさにそうなる様にというのだ。
「頑張ってね」
「それが一番ね」
「そして一生の思い出にしてね、その一生もね」
 高校を卒業してからもというのだ。
「やっぱり振り返って」
「楽しかったら」
「そう、いい思い出だったらいいでしょ」
「そうね、やっぱり一生ね」
「そうそうそうはいかないけれど」
「よくないこともあるわね」
「生きていたらね」
 それならというのだ。
「そうした時もあるわ、けれどね」
「それでも出来るだけは」
「その方がいいから」
 それでというのだ。
「努力していってね」
「いい思い出を作っていく為に」
「そうしてね」
「ええ、この三年間ね」
「もっと言えばそれからもだけれど」
「そうしていく様にするわ。それじゃあ」 
 咲は母に笑顔で言った。
「これからね」
「入学式にね」
「行って来るわ」
「じゃあ咲ちゃん行こう」 
 愛がここで言ってきた。
「今から」
「うん、電車に乗って」
「そしてね」
「私は高校で」
「私は大学よ」
「そうよね」
「途中まで一緒だし」 
 電車でもというのだ。
「行きましょう」
「それじゃあね」
「ええ、今からね」
「行こう」
 二人でこう言ってだった、母と別れを告げて。
 咲は愛と共にまずは駅に向かいそこで定期を使って駅に入った、そして電車に乗ったがその満員電車の中で。
 咲は愛にここではこう言った。
「はじめて定期使ったわ」
「どんな気持ち?」
「楽にね」
 それでというのだ。 
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