夢幻水滸伝
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第百九十九話 アミンの決断その六
「どうもな」
「そやからですね」
「そや、戦よりもな」
「政ですね」
「無闇やたらと戦したがる奴はアホや」
リーは忌々し気に言い切った。
「まさにな」
「そやからですね」
「そや、私はそんなアホになりたくないからな」
それ故にというのだ。
「戦をするよりもや」
「穏やかにですね」
「やたら威勢がよくて暴力を振るう」
そうしたというのだ。
「そんな奴が強いか」
「自分より力の弱い者には」
「何かあったら戦や皆殺しとか言う奴は前線に出てもや」
それでもというのだ。
「何の役にも立たんかカルトや」
「カルトはですね」
「論外や、自分達だけが正しいと思って他のモンは認めん奴はな」
「彼等こそ許してはならないですね」
「自分達以外を殺して壊す、そんな奴等こそ認めん」
リーは強い声で言った。
「ほんまにな」
「国にあれば癌となりますね」
ティンもこう言った。
「そういった連中は」
「若し国を握ればな」
「もうその国は他者を一切認めず攻撃し続ける」
「とんでもない国になるわ」
「まさにカルト国家ですね」
「そうなったらもう終わりや」
その国はとだ、リーはさらに強い声で言った。
「そやからな」
「絶対にですね」
「そうした連中は許さん」
「政を行う者として」
「この世界ではそうした大きな宗教もないしな」
「有り難いですね」
「ほんまにな、まあ兎に角私は戦は最後の最後や」
行うにしてもというのだ。
「それでやってくで」
「わかりました」
「ほなそういうことで」
他の星の者達も応えた、そうしてだった。
リーはアミンがいるクアラルンプールに向けて使者を送った、その頃アミンは今の自国の状況に頭を悩ませていた。
そうしてだ、周りの意見を聞いていた。
「カンボジア及びラオスから水軍が来てです」
「そこには大軍が乗り込んでいます」
「ミャンマーからも同じです」
「やはり万単位の大軍が来ています」
「そしてシンガポール、ブルネイも動きを見せています」
「我等よりも遥かに数の多い軍勢が同時に来ようと来ています」
「これだけの大軍に一気に来られると勝てんわ」
アミンはその悩む顔で言った。
「我が国だけでは」
「やはりそうですか」
「この状況では勝つのは難しいですか」
「どうしてもですか」
「一方ずつならまだ対応出来るけど」
それは可能だがというのだ。
「四方からそれぞれ万単位で来られると」
「難しいですね」
「まさか急にこうした事態になるとは」
「シンガポール侵攻を考えていましたが」
「それどころではないですね」
「先手を打たれた、いや」
違うとだ、アミンは自分が出した言葉をすぐに訂正した。
「相手が二枚も三枚も上手やったか」
「そのシンガポールの方がですね」
「神星のお一人リー様が」
「そうだと言われますね」
「そやった、やっぱり神星の人は凄いわ」
敵である彼のことを素直に賞賛さえした。
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