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イベリス

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第六話 入学式の後でその十二

「随分とよ」
「真っ赤でしょ」
「そう言うと同じね、私達」
「そうね、実はお顔も背もスタイルも似てるって言われてきて」
「ずっと仲いいから」
「いつも実の姉妹みたいに言われてるわね」
「そうよね」
 愛に笑って話した。
「子供の頃からね」
「そうね、だからこそいいわね」
「あっ、晩ご飯の時のことね」
「そう、何かあったら」
 困った時はというのだ。
「いいわね」
「何でもよね」
「お話してね」
「わかったわ」 
 咲も頷いて答えた。
「その時はね」
「何でもよ」
「お姉ちゃんに言うわ」
「叔父さん叔母さんに言えないことでも」
「お姉ちゃんにはなのね」
「言ってね、それで若し私に言えなかったら」
 そうした話はとだ、愛は風呂場でもこのことを話した。
「いいわね」
「お父さんとお母さんにね」
「話してね」
「そうするわね」
「そうしてね、いやしかし明日私も大学なのよ」
「大学の一学期はじまるの」
「そうなの、前期がね」
 それがというのだ。
「はじまるからここでお酒抜いておいて」
「明日はすっきりして」
「そのうえでね」
「大学行くのね」
「そうするわ、一緒にお家出て」
 そしてというのだ。
「それぞれの学校にね」
「行くのね」
「そうしましょう」
「うん、それじゃあね」
 咲は愛の言葉ににこりと笑って頷いた、そしてだった。
 二人は風呂で酒を抜き身体も清めた、そのうえで。
 同じベッドで一緒に寝た、そうして咲は入学式に赴くのだった。


第六話   完


                 2021・3・8 
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