| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

受け継がれる愛情

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第二章

「お母さんとな」
「お祖母ちゃんね」
 夫婦で話した。
「完全に」
「そうだよな」
「ロージーのことは安心していたわ」
 妻は自分が予想していたことを話した。
「絶対にね、けれどね」
「それでもか」
「ええ、リロまでなんてね」
 彼女まで面倒を見るとはというのだ。
「思わなかったわ」
「そうだったんだな」
「ロージーだけを考えていて」
 子猫達のことについてというのだ。
「リロまではね、けれどね」
「元々はリロが育てたしな」
「ロージーはね」
「それだとだな」
「ええ、こうなることもね」
「当然だな」
「そうね、リロがロージーを育てて」
 そしてというのだ。
「ロージーが子猫達を育てて」
「受け継いでるな」
「愛情をね」
 まさにそれをというのだ。
「そうなっているわね」
「そうだな」
 夫もその通りだと頷いた。
「見事にな」
「愛情は注がれると」
「次の子達にも注ぐんだな」
「そういうものね、お水みたいね」
「そうだな、注いだ容器からな」
「別の容器に注がれるわね」
「そうしたものだな、だからだな」
 妻に笑顔で述べた。
「ロージーも子猫達に愛情を注いでくれるな」
「リロもそうしてくれるわね」
「ああ、だったらな」
「この子達は愛情を注いでもらってね」
「幸せに育っていくな、それで里親は」 
 ここで夫は妻にこのことを問うた。
「もう決まるか?」
「あと少しよ」
 妻は夫にすぐに答えた。
「そうなるわ」
「そうか、それじゃあ皆が幸せになる様に」
「いい人を選んでもらいましょう」 
 里親にというのだ。
「そうしましょう」
「そうだな、愛情を注いでもらって育っているんだ」
「ロージーそしてリロにね」
「だったら今度は里親の人達にもそうしてもらおう」
「そうしてもらいましょう」
 こう話してだった。
 夫婦は子猫達に愛情を注ぐロージーとリロそして注がれる子猫達を見守った、そしてその子猫達は心ある人達を里親に選んでもらい。
 そしてだ、そのうえで。 
 子猫達は一匹一匹里親に貰われていった、だがロージーによく似た毛色の雄猫、トミーと名付けられた彼は家に残り。
「ロージーとリロにはこれからもな」
「愛情を注いでもらいましょう」
「そしてトミーもな」
「やがてはね」
「ニャア」 
 トミーはロージーのお腹のところで彼女に優しく守られつつ寝転がっていた、そうしてそのうえで二人に応えた、愛情に包まれた彼は今その愛情を確かに感じていた。ロージーもリロも夫婦もそんな彼を優しい目で見ていた。


受け継がれる愛情   完


                  2021・5・23 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧