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歪んだ世界の中で

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第十三話 希望の親その六

「そやからな。二階空けとくから」
「持って来たいもん何でも持って来いや」
「希望、よかったね」
 二人の自分達からの言葉を聞いてだ。そうしてだった。千春は明るい笑顔になって驚きを隠せない希望に対してだ。笑顔で言ってきたのだった。
「許してもらえたよ」
「うん、まさかおばちゃん達から言ってくれるなんて」
 このことがだ。どうしてもだったのだ。
「信じられないけれど。よかったよ」
「じゃあすぐにここに入るのね」
「いや、待って」
 おばちゃん達の好意は受け取った。しかしだった。
 希望はあえてだ。こう言ったのだった。
「それは有り難いけれどね」
「じゃあやっぱり」
「うん、テストが終わってからだよ」
 中間テスト、それからだというのだ。
「それからだよ」
「それからなのね」
「そう。自分で納得しないと」
 そうでないと駄目だというのだ。希望は筋を通そうとしていた。
「だからね。それからね」
「このお家に入るのね」
「そうするよ」
 千春に顔を向けてだ。希望は言った。
「テストでいい点を取ってね」
「そうなんやな。そやったらな」
「テスト頑張りや」
 おばちゃん達もだ。二人のその言葉を受けてだった。
 そしてそのうえでだ。こう希望に言ってきたのである。
「二階、何時でも空けとくから」
「それから来いや」
「有り難う。それじゃあね」
 二人の大叔母達の心を受け取りだ。そのうえでだった。
 希望は笑顔になった。そうしてこれからのことを決めたのだった。
 彼はおばちゃん達と話を決めてだ。それからだ。
 二人からお茶とお菓子を御馳走になり二人の家を出た。そしてそれから千春に言った。
「よかったよ。まさかね」
「おばちゃん達から直接許してもらえるって思ってなかったんだ」
「うん。僕から話してね」
 そしてだとだ。彼は思っていたのだ。
「それで認めてもらおうって思ってたけれど」
「多分それだけね」
「それだけって?」
「おばちゃん達は希望のことを心配してたんだよ」
 だからだとだ。千春は二人のことを思い出しながら希望に話すのだった。
「ずっとね。だからね」
「僕に家に来いって」
「そう言ってくれたんだよ」
「僕おばちゃん達にそれだけ大事にしてもらってるんだね」
「だって。親だから」
 それ故にだと言う千春だった。
「おばちゃん達は希望にとって親だからね」
「だからなんだね」
「そう。だからなんだよ」
「僕に家に来て一緒に暮らそうって言ってくれたんだ」
「そうだよ。だからテスト頑張ってね」
「うん、頑張るよ」
 実際にそうするとだ。希望はあらためて決意を固めた。そうしてだ。
 そのうえでだ。千春に顔を向けて言ったのである。
「今も勉強してるしね」
「学校のお勉強自体をだよね」
「もう。勉強のことでもね」
 それでもだとだ。希望は顔を正面に戻してからだ。そして千春に答えたのである。
「頑張るよ。実際にね」
「そうするんだね」
「馬鹿にされることは気にならなくなったよ」
 それはもう卒業していた。
「けれどね」
「それでもなんだ」
「うん、僕は頑張れることには何でも頑張るよ」
「学校のお勉強はそれになったんだ」
「そう、そのうちの一つにね」
 なったとだ。千春に話したのである。 
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