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じゃじゃ馬ストレート

作者:碧河 蒼空
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2話 陽美ポイントを差し上げます!

 先生は入学式前にちゃんとお花摘みの時間を確保してくれた。

 先生、本当にありがとう。おかげで高校生活の思い出1ページ目が汚されずに済みました。陽美ポイントを差し上げます!

 入学式後は今後直近のスケジュールを確認したら解散となったので、この後はヨミちゃん、芳乃ちゃん、息吹ちゃんと四人でレイクタウンへ行くことになった。

 放課後にご飯を食べながらお喋り。うんうん、何だか高校生っぽいな。

「めっちゃ大きいらしいね」

 発案者のヨミちゃんは初レイクタウンらしい。今から楽しみでウキウキしていた。

「そう!入口から端っこまで一キロあるのよ」

 息吹ちゃんは何度も行っているのか、その広大さをヨミちゃんに説明する。

「マジ?大きすぎ!」

 レイクタウンの規模に驚きを見せるヨミちゃん。

「ガチで回るとヘトヘトになっちゃうよね」
「私はまだ全部回ったことは無いかな」

 芳乃ちゃんは全制覇しているようだが、私は大きくなってからはランニングに使ったくらいなので、まだまだ知らない所が沢山ある。

 私達が話ながら歩いていると、黒髪ショートボブの小柄な子が前から歩いてきた。四人並んで歩いていたので私は後ろに下がって道を譲る。

 彼女の身長は私の肩くらい。あの人もこの位だっけ?

 私は横目ですれ違う女の子を見ていたら、彼女もこちらを見ていることに気付いた。正確には私の前を歩くヨミちゃん。

「ヨミちゃん······?」

 彼女はする違う瞬間にヨミちゃんの名前を呼ぶ。

「やっぱりヨミちゃんだ。珠姫だよ。覚えてない?」
「タマちゃん······!覚えてるよ。久し振り~!!」

 ヨミちゃんは彼女とその名前が繋がると嬉しそうに珠姫と名乗った子を抱き締めた。


「いっ……!?」

 ヨミちゃんのスキンシップに珠姫さん(?)は戸惑いを見せる。


「うんなるほど。確かにタマちゃんの匂いだ」

 小柄な子の胸に顔を擦り付けた。凄いデレデレ。

「山崎選手······何でこんな所に······」

 芳乃ちゃんを見ると、いちゃつく二人を見てワナワナ震えていた。

「中二の時名門美南ガールズの正捕手で強気なリードと守備が魅力だった人だよ。去年は強打者捕手の台頭で控えだったけど、私は珠姫さんを使うべきだと思ってた!つまり······」

 芳乃ちゃんはカバンから色紙とペンを取り出した。それ、いつも持ち歩いてるのかな?

「ファンですサイン下さい!!」

 ツーサイドアップを羽ばたかせ、興奮した様子で色紙を、珠姫さんに差し出した。てかどうやって髪動かしてるの!?

 珠姫さんとヨミちゃんが話をしている間も芳乃ちゃんの髪は激しく動いていた。サインを書き終えた珠姫さんから色紙を受け取った芳乃ちゃんは凄く嬉しそうにサインを見つめている。

「そーだタマちゃん、あれしようか?」
「あれ?」

 ヨミちゃんの提案に珠姫さんは疑問符を浮かべた。

「野球少女の再開の儀式といったらキャッチボールしかないでしょ!」

 こうして私達はキャッチボールをする為にグラウンドへ向かうこととなった。






 この珠姫さんとの出会いが私にとっても大きな運命の分岐点である事に、この時まだ気付いていなかった。 
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