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ドリトル先生と不思議な蛸

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第十二幕その四

「いい生きものだよ」
「そうなんだよね」
「お家でも田畑でも害虫を食べてくれる」
「いい生きものよね」
「蜘蛛はね」
「日本での狼と同じだよ」
 この生きものと、というのです。
「そこはね」
「ああ、狼だね」
「狼もそうだよね」
「ニホンオオカミは田畑を荒らす獣を食べてくれるから」
「有り難い存在だったね」
「そうだよ、日本ではね」
 何といってもというのです。
「牛や豚や羊を牧場で飼育していなくてね」
「それでだよね」
「牧場の家畜が狼に襲われることはなくて」
「もう皆田畑を耕していて」
「畑を荒らす獣が問題で」
 皆も言います。
「狼はその獣を食べてくれるから」
「それでよかったね」
「そうだよね」
「そう、狼は非常に有り難い存在で」
 それでというのです。
「『おおかみ』だったしね」
「『大きな神様』だね」
「そこまで有り難い存在だった。
「だからだね」
「狼はね」
「非常に有り難いね」
「そうした生きものだったね」
「蜘蛛もそうでね」
 この生きものもというのです。
「その実はね」
「害虫を食べてくれて」
「本当に有り難い存在だから」
「嫌うことはないね」
「外見はどうであっても」
「そういうことなんだ」
 先生は皆に穏やかな声でお話しました。
「それがね」
「そうだよね」
「本当に蜘蛛は怖くないね」
「実際に」
「そうよね」
「うん、それとね」 
 先生はさらに言いました。
「実は人が死ぬ様な毒を持っている蜘蛛もね」
「いないよね」
「かなり少ないよね」
「そこまで毒が強い蜘蛛も」
「そうだよね」
「タランチュラでもね」
 有名なこの毒蜘蛛もというのです。
「その実はね」
「そこまで毒が強くないね」
「噛まれたら死ぬ様な」
「そうした蜘蛛じゃないね」
「実際のところは」
「そうなんだ、そのこともね」
 先生は紅茶を飲みつつ言いました。
「ちゃんと学んでね」
「知るとだよね」
「問題ないよね」
「知っていれば」
「それでね」
「本当に知ることがね」
 まさにというのです。
「大事なんだよ」
「本当に何でもよね」
「蜘蛛についても狼についても」
「それこそ」
「それは蛸もだったね」
 この生きものもというのです。 
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