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イベリス

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第二話 はざかいの時その七

「家族じゃなくてね」
「犬だって思っていたの?」
「犬は犬よ」
 母はそれは当然とした。
「種族はね、けれど種族は関係なくね」
「家族ってことね」
「モコもね」 
 家の愛犬もというのだ。
「あの娘だってよ」
「ええ、家族よね」
「お父さんがチヤホヤしてるでしょ」
「本当にね」
「お父さんにとっては二番目の娘なのよ」
「私の妹ね」
「そう、妹だから」
 それでというのだ。
「あんたから見れば」
「それでお父さんから見たら二番目の娘で」
「お母さんから見てもよ」
「二番目の娘ね」
「お母さんが生んだ訳でも種族は違っても」
 人間と犬の違いはあってもというのだ、母はモコを見てそのうえで咲に話した。
「この娘もね」
「娘ね、お母さんの」
「心のあるね、おもちゃじゃないのよ」
「家族であって」
「そうよ、その人達にとってそのワンちゃんは家族でなくね」
「おもちゃだったの」
「そうだったのよ、心の底ではそう思っていたのよ」
 人間でなく、というのだ。
「だからインスタに出していたのよ」
「家族としてでなく」
「お気に入りのおもちゃだったのよ」
「それを皆に見せていたの」
「自慢してね」
「家族を可愛がってでじゃなくて」
「そうよ、そしてね」
 それでというのだ。
「別のおもちゃが手に入ったからね」
「自分達の赤ちゃんが」
「そう、だからね」
「捨てたのね」
「そうよ、命とかはね」
「気にしなかったの」
「そうだったのよ、だからいらなくなったからね」
 母は怒った顔で話した。
「それでよ」
「保健所に捨てたの」
「殺処分されるね、飼い犬とか飼い猫が保健所に入れられたら」
 どうなるかとだ、母は娘に話した。
「所有権なくなってるから何時殺処分されてもね」
「おかしくないの」
「そうした保健所もあるらしいわ」
「自分の家族に対する仕打ちじゃないわね」
「命ある大事なものにでもないでしょ」
「ええ」
「だからそうした人達にってはね」
 まさにというのだ。
「そのワンちゃんもおもちゃで」
「赤ちゃんもなのね」
「所詮そうよ、いらなくなったら」
 自分達の子供もというのだ。
「捨てるわよ」
「腐ってるわね」
「ええ、そんな人達だから」
「絶対にお付き合いしないことね」
「あんたもそんな人達が相手だと」
「利用されれるだけされて」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「相手の都合でね」
「ポイ、ね」
「そうよ」
 そうなるとだ、娘に話した。
「本当にね」
「犬もそうする人は」
「人も一緒よ、自分しかないから」
「自分以外はなのね」
「もうおもちゃかね」 
 若しくはというのだ。 
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