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八条学園騒動記

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第六百十話 考えてみれば不思議その十

「というかむしろ自分からね」
「乗るわよね」
「マクベスも結構ね」
「拒んでないわね」
「聞いて少し迷う感じだけれど」
 それでもというのだ。
「頷いてね」
「悪に走っていくわね」
「権力を求めて」 
 玉座、それをだ。
「そして王様になっても」
「今度はその座を安泰にする為にね」
「奥さんの言葉を聞いて」
 これまでの様にというのだ。
「どんどんね」
「悪事重ねていくわね」
「もうね」
「結構独裁者とかいるけれど」
 ルビーは現実の話をここで入れた。
「サハラにね」
「いるわよね、クーデター起こしたりしてね」
「それで権力者になる人」 
 ダイアナもレミも応えた。
「今はオムダーマンとティムールだけになってるけれど」
「サハラってそうしたお話ばかりでね」
「あからさまに怪しい経緯で国家元首になって」
「弾圧や粛清繰り返す人いるわね」
「それでそんな人達ってね」
「末路は悲惨よね」
「そういうのを見ていたら」
 ルビーはまた言った。
「案外ね」
「現実にあるのね」
「シェークスピアみたいなお話が」
「だから私達もね」
「マクベスみたいな場所にいたら」
「ああなってもね」
「おかしくないわ、だからね」
 ルビーの言葉は深刻なものだった。
「嗤えないのよね」
「シェークルピアな作品は」
「本当にね」
「オセローもリア王もそうで」
「コリオレイナスだって」
 こうした作品の登場人物達もというのだ、三人で今大団円を観ながら話した。しかしその大団円については。
 ダイアナは暴君を倒して万々歳となっている場面を観つつ言った。
「何か虚しくなるのよね」
「マクベスの結末ってね」
 レミも応えた。
「それでいいのか」
「そう思うわよね」
「暴君を倒したけれど」
「それでいいの?」
「どうしてマクベスがそうなったか」
「そう思うわよね」
「ええ、マクベスの結末は」
 ルビーも言ってきた。
「大団円だけれど」
「何かね」
 レミは首を傾げさせて言った。
「引っ掛かるっていうか」
「それがいいのか」
「そう思わせるわよね」
「どうにも」
「不思議な結末ね」
 ダイアナも言った。 
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