八条学園騒動記
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第六百十話 考えてみれば不思議その七
「そうでね」
「それでも魅力あるから」
「いよいよ死ぬってなると」
「思い入れもあるから」
「残念にも思うわね」
「何かシェークスピアの作品ってね」
ルビーも言ってきた。
「悪人でも魅力的よね」
「そうよね」
レミも応えた。
「それで死ぬとね」
「寂しいのよね」
「マクベス夫人もマクベスも」
「他の作品の登場人物も」
「どんな登場人物も魅力的なのは」
このことはというのだ。
「凄いわね」
「流石と言うべきか」
「見事」
「そう言っていいわね」
「本当にね」
まさにというのだ。
「私達にしてもね」
「そう思うわね」
「悪人と言っても」
またダイアナが言ってきた。
「死ぬと寂しいって凄いわ」
「もう悪人なんてさっさと死ねってね」
その様にとだ、ルビーは言った。
「思うわよね」
「普通はね」
「それもマクベス夫人みたいな謀略ばかり唆してると」
「そう思うのに」
普通はとだ、ダイアナも言った。
「それがね」
「あそこまで魅力的でね」
「死ぬと寂しくなるのは」
「良心があったことに何でってなっても」
「凄いことね」
「全くよ、オセローのヤーゴも」
レミも言った。
「あそこまで悪いと惚れ惚れするわ」
「極悪非道だけれど」
歪んだ悪、それヤーゴであろうか。ルビーはこうも思いながらそのうえでレミにもダイアナにも話した。
「その悪人ぶりがね」
「かえってよくてね」
「最後死ぬってなると寂しくなるわ」
「というかオセローは」
ここでレミはこうも言った。
「物凄い馬鹿よね」
「馬鹿過ぎるでしょ」
ここでこう言ったのはダイアナだった。
「オセローは」
「そうよね」
「自分の奥さん信じないで」
それでなのだ。
「どんどん疑ってね」
「それで奥さん殺すから」
「もうね」
「馬鹿っていうとね」
「物凄い馬鹿よね」
「馬鹿っていうか愚か?」
こう言ったのはレミだった。
「オセローは」
「馬鹿と愚かって違うってことね」
「それでオセローはね」
この登場人物はというのだ。
「愚かも愚かで」
「その極みにあるわよね」
ルビーもどうかという顔で言った。
「ハムレットやロミオも結構だけれど」
「オセローはね」
「もっとね」
「アントニーやプルートスもあんまり?」
ダイアナはアントニーとクレオパトラ、ジュリアス=シーザーの主人公達のことをそれぞれ話に出した。
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