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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十二話 年末の来日その四

「問題外だからな」
「いますよね、そんな顧問も」
「柔道で生徒無茶にぶん投げたりして」
「そうしたりして」
「何でも剣道の部活で生徒を床の上で背負い投げにした奴がいるらしいがな」
 この学園では有名な話だ、奈良県の中学でこんな教師が実在するらしいし他にもいたりするというから恐ろしい。
「論外だからな」
「それ常識ですよね」
「もう人間として」
「いや、人を床の上で背負い投げとか」
「それガチで暴力ですよ」
「稽古とか練習じゃないですよ」
「そうだよ」
 先生もこう答えた。
「誰が見たってそうだろ」
「ですよね」
「シゴキですらないですね」
「完璧虐待ですね」
「された人がどうでも」
「普段から生徒に無茶やってたらしいがな」  
 その暴力教師はというのだ。
「その生徒は部活にあまり来なくてな」
「稽古で、ですか」
「そこまでしたんですか」
「床の上で背負い投げですか」
「ああ、言うがな」
 先生はここでこうも話した。
「柔道の技は床の上でするものじゃないぞ」
「畳の上ですよね」
「そこでしますよね」
「さもないと危ないですよね」
「柔道部でもそうですし」
「床の上でやったらな」 
 硬いその上でだ。
「しかも受け身教えていないとな」
「死にますよね」
「下手したら」
「そうなりますよね」
「ああ、勿論剣道部だからな」
 柔道部では人は普通は投げない、柔道部は投げることが技の中にあって剣道は言うまでもなく竹刀を使うものである。
「荒い稽古で取っ組み合いとかあってもな」
「普通背負い投げないですよね」
「死にますから」
「そんなことしたら」
「床の上でやるなんてな」
 論外だというのだ。
「受け身も教えてなかったんだよ」
「何処までも無茶ですね」
「もうヤクザ屋ですね」
「その域ですね」
「俺はそんな奴にはなりたくないんだよ」
 そんな暴力教師にはとだ、先生は言い切った。
「しかもこいつ竹刀蹴飛ばしたっていうからな」
「バスケで言うとボール蹴飛ばすってことですね」
「そんなことしたら駄目ですけれどね」
「バスケのボールは蹴飛ばすものじゃないです」
「持つものですから」
「そうだよ、俺も言ってるだろ」
 いつもという口調での言葉だった。
「スポーツマンシップを守れ」
「ですよね」
「それでバスケのボールもです」
「蹴飛ばさないです」
「そんなことはしないです」
「そいつはやったんだよ」
 剣道をしていてだ。
「竹刀を普通に何度も蹴飛ばしたんだよ」
「最低ですね」
「よくそれで人に教えられますね」
「それも剣道を」
「俺達でも間違いってわかりますよ」
「そんなことは」
「もうこんな奴になったらな」
 先生の口調は怒ったものになっていた。
「おしまいだからな」
「人間として」
「もうそうですよね」
「というかそんなのよくクビにならないですね」
「学校の先生って物凄い世界ですね」
「奈良県の話だけれどな」 
 歴史あるこの県のことだというのだ。 
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