夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百九十五話 川と密林の国をその六
「しかも星の者は二人おる」
「お一人は天の星の方ですし」
「かなりのお強さですね」
「我々より明らかに強いですね」
「そうした相手ですね」
「そのタイにどう対するか」
ティンは腕を組んで言った、魔人特有の薄紫の肌を持つ端正な顔を強張らせてそのうえで言うのだった。
「それが問題やな」
「あとインドですね」
「それに中国ですね」
「この二大国とも国境を接していますし」
「難しいところですね」
「まあ中国もインドも境はジャングルでな」
即ち密林地帯だというのだ。
「尚且つ高山でな」
「そうそう攻めては来られないですか」
「両国共」
「だから安全ではありますか」
「二国共今はこっちに来る気配はないしな」
中国もインドもというのだ。
「インドは早速統一したらしいが」
「どうもロシアと同盟を結ぼうとしていますね」
「あちらの星の方々と懇意になってきていて」
「そして棟梁同士が結婚されるとか」
「インドとロシアで」
「それで同君連合か。とんでもない勢力になるな」
ティンはこの世界での地図を脳裏に描いた、そこにあるインドとロシアが彼の脳裏で赤一色となった。
「その間にある国々まで入れるやろし」
「はい、巨大な勢力ですね」
「国土も人口も」
「そして資源も」
「我々なぞ比べものにならないですね」
「そんな国とは絶対に戦えん」
何があってもというのだ。
「勝てる筈がないからな」
「左様ですね」
「では我々はどうするか」
「それが問題ですね」
「ミャンマーを統一したとしても」
「むしろそこからが問題かもな」
ティンは沈痛な顔で述べた。
「正直言って」
「左様ですね」
「ミャンマーは決して大きな国ではないです」
「世界の中から見ますと」
「そのことを自覚してですね」
「やっていかんとな、タイにも勝てん」
中国やインドそしてロシアとは比較にならない程小さな国だがというのだ。
「今の我が国はな」
「それが現実ですね」
「ではこれからどうするか」
「それが問題ですね」
「まず民に危害は及ばさせん」
それは絶対にというのだ。
「何があってもな」
「そのことが第一ですね」
「棟梁にとっては」
「我々を護ることが」
「国土もな、ミャンマーの国土も」
民と共にというのだ。
「守らんとな、そのことから考えてな」
「やっていきますね」
「これからは」
「ミャンマーを統一してからは」
「ミャンマーは統一する」
このことも絶対だというのだ。
「このままな、しかしな」
「民と国土ですね」
「この二つをどう護るか」
「それが第一ですか」
「そや、ミャンマーだけで護れるか」
民と国土をというのだ。
ページ上へ戻る