八条学園騒動記
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第六百九話 カレーはそれぞれその十一
「そう言われてるから」
「どうにかしたいけれど」
シッドの言葉は苦いものだった。
「それがね」
「本当に難しいね」
「そうだよね」
「日本並の個性か韓国並の自己主張があれば」
それでというのだ。
「多少違うけれど」
「というか韓国個性も強いよ」
弟はすぐに突っ込みを入れた。
「あの国は」
「そういえばそうだね」
「だからあの国連合でも目立ってるよ」
三百以上の国の中でもだ。
「それもかなりね」
「そうだよね」
「うん、国力は我が国より低いけれど」
「あの自己主張とね」
「個性だから」
「目立つね」
「お料理だってね」
韓国料理もというのだ。
「あの激辛で激熱で」
「物凄い個性だから」
「それでね」
その為にというのだ。
「目立ってるんだよ」
「そういうことだね」
「もう目立つことなら」
それこそというのだ。
「韓国はね」
「我が国よりもだね」
「遥かにね」
それこそというのだ。
「強烈だよ」
「マウリアなんかは」
エイミーはカレーを見つつ言った。
「言うまでもないわね」
「連合じゃないけれどね」
「強烈過ぎる個性と自己主張ね」
「連合のどの国よりもね」
「そうよね」
「カレーそのものだよ」
トムはこうも言った。
「言うなら」
「そうよね、我が国もそうなりたいわね」
「本当にね」
カレーを食べながらそうした話をした、そして。
カレーを食べ終えてそのうえで食堂を後にしてだ、エイミーはトムとシッドに対して言った。
「私はこれで大学に戻るわ」
「じゃあ僕達も戻るよ」
「高等部の方にね」
二人も答えた。
「じゃあこれでお別れだね」
「またお部屋でね」
「会いましょう、午後も楽しんでね」
エイミーは笑顔で応えた、そうして三人は別れてそれぞれの場所に戻った。文化祭はまだ続いていた。
カレーはそれぞれ 完
2021・2・23
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