戦国異伝供書
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第百二十八話 僧籍の婚姻その十三
「それで急に動かれたのはな」
「やはりおかしい」
「左様ですな」
「では操られている」
「そうなりますか」
「うむ、それに朝廷にはな」
今度は織田家を認めているこちらの話をした。
「以前より妙な公卿の方々がおられるな」
「妙な?」
「妙なといいますと」
「それは一体」
「高田様じゃ」
この家の者だというのだ。
「あの方じゃ」
「あの陰陽道に通じている」
「あの方ですか」
「応仁の大乱でも都に残られていた」
「あの方ですか」
「あの家は昔から異様に黒い衣を着られる」
その高田家もというのだ。
「そう、まるでな」
「闇ですな」
「闇の衣ですな」
「それをですな」
「着ておられる」
この公卿もというのだ。
「奇怪な門徒達にな」
「織田家に出た津々木殿」
「崇伝殿に天海殿」
「そして高田様と」
「揃い過ぎておらぬか」
どうにもというのだ。
「これは」
「左様ですな」
「言われてみれば」
「そう思えてきました」
「法主様に言われる通りに」
「そして拙僧達本願寺もな」
自分達もというのだ。
「織田家との戦はな」
「まさか」
「まさかと思いますが」
「それは」
「何者かが仕組みな」
そしてというのだ。
「その何者かはな」
「その闇のですか」
「闇の衣の者達」
「そうも思われますか」
「確かな証はないのではっきりとは言えぬが」
それでもというのだ。
「こうもな」
「思われますか」
「法主様は」
「その様に」
「うむ、さもないと戦にはならなかった」
本願寺と織田家はというのだ。
「お互いに戦うつもりはなかったからな」
「それだけに」
「今この様な戦になった」
「それならば」
「まさにじゃ」
こう言うのだった。
「何者かが裏におってな」
「そして策を用いて」
「我等を争わせた」
「そしてその者達は」
「闇の」
「そう思った、確かな証は全くないが」
それでもというのだ。
「気になるのう、しかもな」
「しかも?」
「しかもといいますと」
「まだありますか」
「織田殿の周りにじゃ」
信長、彼のというのだ。
「多いのう」
「その津々木殿といい」
「急に出て来て急に姿を消した」
「あの御仁にしても」
「そして浅井殿もな」
再び織田家に入ったこの家もというのだ。
「先代殿の訳のわから翻意もな」
「ですな、先代殿もわかっておられることだというのに」
「織田家に翻意を出しても意味がない」
「そのことが」
「それに我等とじゃ」
本願寺にというのだ。
「公方様じゃ」
「まさに織田家の周りですな」
「織田家の周りで次々に起こっていますな」
「妙なことが」
「言われてみれば」
「まるで織田殿の天下布武、天下泰平をもたらすそれをな」
信長のその目的と行動をというのだ。
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