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戦国異伝供書

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第百二十八話 僧籍の婚姻その八

「よいな」
「それはですな」
「織田家との戦に備えて」
「そうしてですな」
「うむ」
 その様にするというのだ。
「我等がいる摂津もほぼ全てが織田家の領土じゃ」
「はい、それこそこの石山の周りもです」
「ほぼ全て織田家の領地です」
「周りの国までそうです」
「播磨も河内も和泉も山城も」
「そして織田家は総本山を狙う」 
 戦になればというのだ。
「まさにな」
「それならばですな」
「石山は戦に備えますな」
「ここは」
「そうしますな」
「うむ」
 まさにというのだ。
「そうする」
「ではすぐに」
「雑賀衆を入れ」
「鉄砲を多く揃え」
「戦える者達を揃えますか」
「そうする、この石山は多くの川に囲まれておる」
 そうした場所だからとだ、顕如は地の利の話もした。
「如何に織田家が強勢で多くの兵を出してきてもな」
「それでもですな」
「我等はですな」
「戦えますな」
「充分に」
「それが出来る、では守りを固める」
 こう告げてだった、顕如は本願寺の門徒達に軽挙はせぬ様に命じて石山の守りをこれ以上はないまでに固めた。
 そうして織田家との戦に備えたが。
 織田家を攻める門徒達の話を聞いて本願寺の主な者を集めて言った。
「闇の旗に衣というが」
「その様な門徒達知りませぬ」
「伊勢にも近江にも出ていますが」
「そして加賀や紀伊、土佐にも」
「三河にもです」
「門徒達には軽挙はせぬ様に命じてある」
 その様にというのだ。
「確かにな」
「左様です」
「そのことはもう命じています」
「既に」
「そして灰色の旗は挙がっていませぬ」
「ですが」
「その様な門徒達は知らぬ、しかも聞くところによると鉄砲を多く持っておる」
 その闇の旗と衣の門徒達はというのだ。
「門徒達がそこまで鉄砲を持っておるか」
「百姓である者達がですか」
「鎌や竹槍ならともかく」
「他の武具もよいそうですし」
「それは」
「有り得ぬ」
 顕如は言い切った。
「そうであるな」
「門徒ではないのでは」
「そもそも灰色ではないですし」
「なら一体」
「その者達は何者でしょうか」
「どうしてもわからぬ、今我等は石山を固めておるだけ」 
 総本山である場をというのだ。
「まさにな」
「はい、しかしです」
「その者達は勝手に動いています」
「織田家の領地のあちこちで暴れています」
「法主様のお話を聞かずに」
「それに公方様も応援しておられるという」
 その闇の門徒達をというのだ。 
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