毛布好きのライオン
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第二章
「それにくるまるとね」
「かつて家でそうであった様に」
「安心して寝られますか」
「そうなりますか」
「安心して眠れるだけでも違うから」
だからだというのだ。
「ここはだよ」
「はい、寝てもらいましょう」
「毛布にくるまって」
「そうして」
周りはヴィッキーの言葉に頷いた、そうしてだった。
彼に毛布を与えた、すると。
ランバートは毛布にくるまって寝る様になった、そうすると彼は安心して寝られる様になった。そうして。
次第に落ち着き施設にも馴染んでいった、しかも寝る時だけでなく。
「いつもですね」
「毛布身体にかける様になりましたね」
「そうしてもう三歳ですか」
「三歳になってもそうしていますね」
「鬣が生えてもです」
「そうなっていますね」
「そうだね、彼にとってはね」
ヴィッキーはさらに言った。
「毛布は温もりでありね」
「欠かせないものですね」
「かつて家で寝ていたベッドですね」
「とても暖かいもので」
「安心出来るものですね」
「そうだね、ならこれからもだよ」
ヴィッキーは暖かい声で話した。
「彼には毛布が必要だ」
「そうですね、それじゃあです」
「これからも毛布を常に傍に置いておきましょう」
「それが彼を救ってくれるなら」
「そうしていきましょう」
「生きものにも幸せになるべきだよ」
人間と同じくというのだ。
「是非ね」
「そうですよね」
「命ある存在ですから」
「だからこそ」
「うん、それでランバートにはね」
彼にはというと。
「温もりを与えてくれるものが必要だから」
「それが毛布ですね」
「かつて寝ていた家のベッドと同じもの」
「それが必要ですね」
「だからこれからも」
是非にとだ、ヴィッキーはさらに言った。
「毛布を置こう、ランバートもそれでいいね」
「ガウ」
ランバートヴィッキーに応えた、その顔は笑顔に見えた。見れば起きている今も毛布があった。彼の背中に。
毛布好きのライオン 完
2021・3・16
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