戦国異伝供書
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第百二十八話 僧籍の婚姻その五
「助ける道理はない、そして織田家にもな」
「もう戦をですな」
「せぬことにしたからな」
一向一揆を起こさずにだ。
「だからな」
「我等はですな」
「何もせぬ、だがこれはないと思うが」
それでもとだ、顕如は話した。
「若し織田殿が銭にことでお困りなら」
「矢銭をですか」
「送らせてもらおう」
そうした意味で助けるというのだ。
「例え何があってもな」
「織田殿が勝ちますか」
「うむ」
だからだというのだ。
「そのことは間違いないしな」
「どうしてもというのなら」
「その時はな」
矢銭をというのだ。
「そうする」
「では」
「その様にな、加賀は静かにし」
そしてというのだ。
「治めるぞ」
「わかりました」
「それではです」
「その様にしていきましょう」
「我等は」
「それではな」
こう言ってだった。
本願寺は織田家と朝倉家の戦は織田家寄りの中立を貫くことにした、だが織田家は一旦浅井家の裏切りでだった。
一旦越前攻めを中断して信長は僅かな者を連れて真っ先に都に戻りそして軍勢は羽柴達の後詰を受けて退き。
戦は仕切りなおしとなった、それを見てだった。
本願寺の中で若しかするとという声が出たが顕如は言った。
「それはない」
「やはりですか」
「織田家ですか」
「織田家が勝ちますか」
「そうなりますか」
「うむ」
まさにというのだ。
「それは揺るがぬ」
「ではですか」
「我等はですか」
「このままですか」
「動きませぬか」
「間違っても朝倉殿に助太刀なぞな」
有利になったという者もいるがというのだ。
「せぬ、よいな」
「わかりました」
「ではその様にしましょう」
「法主様がそう言われるなら」
「是非」
「その様にな」
こう言ってだった。
顕如は本願寺の者達には一切動くことをさせなかった、すると織田家は朝倉家と浅井家を姉側で破り。
そしてだ、そのうえでだった。
朝倉家を降し浅井家を織田家に迎え入れた、それを見て顕如はまた言った。
「拙僧の言った通りであったな」
「はい、まさに」
「その様にです」
「ことは進みました」
「織田殿は勝たれました」
「姉川で勝利を収められ」
「宗滴殿を倒され」
その彼をというのだ。
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