八条学園騒動記
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第六百四話 マウリアの推理その三
「それなら」
「かなり食べたしね」
「お腹一杯だから」
「五時間上映していても」
「我慢出来るよ」
「そうだね、ただ五時間の上映は」
トムはその時間についても言った。
「ちょっと以上にね」
「長いね」
「普通の映画って二時間だよ」
連合の映画の標準である。
「大体ね」
「そんなところだね」
「それがね」
「五時間以上だから」
「マウリアの映画ってね」
「本当に長いね」
「長いどころか」
トムはこうも言った。
「普通じゃないよ」
「長過ぎて」
「映画のね」
「歌劇でもだよね」
シッドはここでこのジャンルの話もした。
「そこまで長い作品は」
「あるにはあるわよ」
エミリーが答えた。
「ワーグナーだと休憩時間含めてね」
「ああ、ワーグナーはね」
シッドもこの作曲家の作品はと答えた、ワーグナーは作曲だけでなく演出や脚本も行っていたし指揮も出来た。
「実際に長いね」
「そうよね」
「ニーベルングの指輪なんてね」
「特にでしょ」
「十五時間だからね」
「四日かけてだから」
「一日の休みまで入れて」
これも入るのがこの作品だ。
「それも二回もね」
「そうした作品もあるんだね」
「ええ、だから歌劇にはね」
「マウリア映画並に長い作品もあるんだ」
「これがね、けれどね」
それでもとだ、エミリーはシッドに話した。
「そうそうないわよ」
「やっぱりそうだね」
「ワーグナーとかグランドオペラは長いけれど」
それでもというのだ。
「普通の歌劇はね」
「そこまで長くないね」
「ええ、流石にね」
そこまではというのだ。
「長くないわ」
「そうだよね」
「二時間位よ」
歌劇も大抵の作品はというのだ。
「やっぱりね」
「そうだよね、二時間がね」
「やっぱり妥当よ」
「歌劇にしても」
「そして映画もね」
こちらもというのだ。
「二時間がね」
「普通だね」
「それ以上長いとだれもするね」
トムも言ってきた。
「どうしても」
「そうだよね」
「まあマウリア映画ってね」
トムは携帯で情報をチェックしながら話した。
「長いので二十四時間のがあるよ」
「一日?」
「うん、丸一日」
文字通りのそれだというのだ。
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