レーヴァティン
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第百九十四話 江戸の街と城その四
「火事はな」
「それでその江戸をどう治めるか」
「それも俺達の課題だ」
「ほんまにそやな」
「火は使う」
どうしてもというのだ。
「文明を営んでいるとな」
「火と水を使わない文明なんてないよ」
桜子は即座に言った。
「本当にね」
「その二つを使ってきてだ」
「人類は文明を築いてきたしね」
「そして発展させてきた」
「そう考えるとね」
「まさにだ」
英雄は桜子に応えた。
「文明を営むのならな」
「火と水はね」
「絶対に使う、そしてだ」
「その火だね」
「今問題なのはな、火事はどうしても起こる」
それはというのだ。
「どれだけ注意してもな」
「出来るだけ起こらない様に出来てもね」
「起こる、そしてだ」
「起こった時にどうするかだね」
「多くの建物が燃えない様にしてだ」
「すぐに消火することね」
「そうすることが大事だ、燃えにくい家にしてだ」
火事が起こってもというのだ。
「そして家と家の間を空け」
「燃え広がらない様にしてね」
「避難や消火の設備も整えてな」
「火消しもね」
「置く」
人もというのだ。
「め組の様な組織をな」
「そうしていくね」
「前に行った時もある程度整っていたが」
「幕府の領地になったからには」
「これまで以上にだ」
そのある程度をというのだ。
「さらにだ」
「整えていくね」
「そうする」
こう桜子に答えた。
「俺達はな」
「そういうことね」
「災害は巨人と同じだけ厄介だ」
「そうだね、巨人が災害と同じだけと言ってもいいけれど」
「兎に角厄介な存在だ」
「本当にそうね」
「そしてその災害に対してどうするか」
それがというのだ。
「政の柱だ」
「まさにそうだね」
「水の話も出たが江戸はそちらも厄介だしな」
「川も多くてね」
「しかも湖抜が極めて低い」
この浮島では海がないので海抜にはならない、湖なので湖抜となる。これは西の浮島も同じである。
「だからな」
「水害も多いわね」
「そちらも悩みの種だ」
「色々厄介な街ね」
「この浮島には地震がないだけましだ」
「ああ、それがないだけで」
「随分ましだ、台風もな」
この災害もというのだ。
「ないからな」
「ましだね」
「まだな」
「そう考えるといいんだね」
「地震と台風がないだけな」
「そういうことね」
「巨人は出るがな」
それでもというのだ。
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