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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十七話 司馬尉、京観を造るのことその四

「頼むな」
「わかった。それではだ」
「町に出るとしよう」
 こうしてだ。彼等は町に出てパピィーの首輪を探しに向かった。その中でだ。
 ふとだ。郭嘉が言うのだった。
「ガルフォード殿に必要な首輪は」
「あっ、そうだよな」
「はい。お一つではありませんね」
 こう彼に言うのである。
「パピィーさんのもの以外にも」
「パパー、ピピー、ピパーのものな」
「ワン」
「ワワン」
「ワワワン」
 その三匹の子犬がだ。ガルフォードの周りに出て来て応える。彼等はもう賑やかな市場に出ている。左右に店が立ち並び商人の活気のいい声に行き交う者達の明るい顔も見える。そうしたものを見ながら市場を歩いている。
 その中でだ。ガルフォードは話す。
「この連中も女の子だからな」
「ならばその者達の首輪もだな」
「女の子用だな」
「そうだよな。買わないとな」
 こう話してだった。
「この連中の分もな」
「そうだ、それもだ」
「是非買おう」
 夏侯姉妹も応えて言う。こうしてであった。
 一行は市場を見回る。その中でだ。
 ふとだ。彼等はだ。
 ある者と擦れ違った。それは。
「なっ!?」
「ば、馬鹿な!」
「貴方がどうして」
「ここにおられるのですか」
「あら、奇遇ね」 
 そこにいたのは卑弥呼だった。あの姿で市場を堂々と歩いている。
 そのうえでだ。右目をウィンクさせるとそれだけで。
 大爆発が起こった。それによってだ。
 市場は大混乱に陥った。多くの者が吹き飛ばされていた。
「な、何だ妖術か!?」
「今のは何だ!?」
「爆発だ!」
「凶悪犯が出たぞ!」
「あら、失礼ね」
 本人だけが平然としている。
「こんな善良な美女を捕まえて凶悪犯だなんて」
「黙れ!何故片目を瞑っただけで爆発を起こせる!」
「貴殿、そもそもどうしてここにいるのだ」
 夏侯姉妹が黒焦げになりながらも立ち上がって問い詰める。
 するとだ。卑弥呼はやはり平然として答えるのだった。
「身だしなみの為よ」
「身だしなみ?」
「それでだというのか」
「あたしはこの美貌を誇るけれど」
 自分ではこう言う。身体をくねらせつつ。
「もっとね。ダーリンを振り向かせる為にね」
「その為にだというのか」
「さらにか」
「そうよ。お洒落をしようと思ってね」
 それでというのだ。
「いいものがあるかどうか探しているのよ」
「そうだったのですか」
「それで市場まで」
「そういうことなのよ」
 軍師二人にも答える。
「それでいいアクセサリーを探してるんだけれど」
「アクセサリーか。それなら」
 ガルフォードが卑弥呼の言葉に応えて言う。
「俺と同じだな」
「あら、そうなの」
「俺もパピィー達の首輪を探してるからな」
「ワン」
 ここでも応えて鳴くそのパピィー達だった。
 
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