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夢幻水滸伝

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第百九十話 南の諸島においてその十

「グレイカス殿もこの国を中々」
「それやったらええけどな、けどな」
「お好きではないと」
「やっぱりあちこち旅したりな」
「冒険がですか」
「好きやわ」
 そうだというのだ。
「僕は」
「左様ですか」
「どうしてもな、けどせなあかんことはな」
「行う」
「そうせなあかんやろ」
 モレイにこうも話した。
「やっぱり」
「それはその通りです」
 モレイもその通りだと答える。
「やはり」
「そやろ、パプワニューギニアものどかな国民性でな」
「この世界でもですか」
「しかも近代文明もな」
 これもというのだ。
「あまりなくてもええ」
「そうも考えるお国柄ですか」
「流石に街ではちゃうけど」
 それでもというのだ。
「やっぱりジャングルとかやとな」
「そうした考えの人が多いですか」
「まだな、部族で行動してる人達もな」
「いますか」
「こっちの世界では起きた世界よりも多いわ」
 むしろというのだ。
「実際な」
「そうですか」
「そうしたお国柄や、けど僕としてはな」
「やらないといけないことはですね」
「やるつもりやから」
 それでというのだ。
「任せてくれるか」
「わかりました」 
 モレイは確かな声で答えた。
「ではこれより」
「ここで飲んで食べた後でか」
「行かせてもらいます」
「まあ今日はここで一泊したらええわ」
 グレイカスも椰子の酒を飲みながら笑って話した。
「そこまで急がんやろ」
「はい、それは」 
 実際にとだ、モレイは答えた。
「急いではいません」
「ほなな」
「それならですね」
「しっかりと飲んで食べて」
 そうしてというのだ。
「身体も奇麗にして」
「お風呂ですか」
「ここは暑いから水風呂が多いな」
「では水風呂ですか」
「お湯もあるし」
 こちらの風呂もというのだ。
「まあどっちにしても身体も奇麗にしてな」
「そうしてですか」
「一泊したらええ」
 自分の屋敷でというのだ、見ればグレイカスの屋敷は木造で一階建てでそれなりの広さだが一国の主の家としては実に質素だ。ちょっとした酋長のそれに見える位だ。
 その屋敷の中でだ、彼はモレイに話すのだった。
「それで朝にな」
「出発ですか」
「朝ご飯を食べて」
 そしてというのだ。
「そうしたらええわ」
「それでは」
 モレイも頷いてだった。
 彼はこの日は飲んで食べて風呂に入ってだった。
 そのうえで起きて朝食を食べてからパプワニューギニアを後にした、パラオとこの国の盟約は既に成っていた。 
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