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しごうちゃる

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第四章

「飛び降りるみたいな」
「そうした勇気だったんじゃ」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「それで書いたけえ」
「そうだったんだね」
「ほなわしとこんなはな」
「これからはだね」
「彼女と彼氏じゃ、よろしゅうな」
「うん、こちらこそね」
「言っちょくが浮気は絶対に駄目じゃ」
 好美はこのことは強い声で言った。
「そんなことしたらしごうちゃる」
「叩きのめすんだね」
「殺すけえ」
 そちらだというのだ。
「わしも絶対にせんけえ」
「だから僕もだね」
「そうじゃ」
 それはというのだ。
「絶対にじゃ」
「うん、わかったよ」
「そういうことでのう」
「これからずっと一緒にね」
「そうしていくけえ」
「それとね」
 二人で約束してからだった、堀は。
 ここでだ、好美にこんなことを言った。
「ただね」
「ただ?どうしたんじゃ」
「いや、吉川さんって広島弁だけれど」
 それを丸出しで喋っているがというのだ。
「手紙は標準語だね」
「そ、そのことか!?」
 好美は堀の優しい笑顔での言葉に再び顔を真っ赤にして返した。
「それはそのじゃ」
「敬語調でね」
 堀はその手紙のことをさらに話した。
「しかもね」
「それでか」
「うん、可愛い字だったね」
「それはじゃ、わしも女の子じゃ」
 顔は赤くなったままで必死の顔で語った。
「それでじゃ」
「だからなんだ」
「そうじゃ、どうしてもじゃ」 
 手紙、文章や文字はというのだ。
「そうなるんじゃ」
「敬語調で可愛い字なんだ」
「広島生まれでも女の子は女の子じゃ」
 両手を肩の高さで真横にして必死に振りながら話した。
「それでじゃ」
「だからだね」
「そうじゃ、どうしてもじゃ」
「そうした風なんだね」
「手紙ではのう、兎に角女の子じゃからな」
「これからもだね」
「宜しくじゃ」
 方言はそのままだった、だがそれでもだった。 
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