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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百五話 イルミネーションその十四

「いいかもね」
「心はそうなのね」
「うん、痩せているよりも」
 本当にそれよりもだ。
「太っている方がいいかもね」
「それも太り過ぎな方が」
「身体が痩せ過ぎて」
 その人の様にだ。
「そして心もってなったら」
「嫌よね」
「自分自身はどうでもね」
 僕が見る限りその人は幸せになっていない、いつも血走った目で険しい顔になっていて必死に痩せようとしている。
「周りがね」
「どうかって思うわね」
「心配するからね」
「そうよね」
「人を心配させるまで痩せるものじゃないよ」 
 僕が思うにだ。
「馬鹿なことを言う人はいるけれど」
「そうした人ばかりじゃないし」
「痩せるイコール善じゃないから」
 このことは絶対に違う。
「あくまで適度でいいんだ」
「痩せれば痩せる程いいとかはないわ」
「そうだよ、トラウマで痩せてもね」
「幸せになれないわね」
「自分でそうしようと思っても」 
 痩せようと決意してもだ。
「それでもね」
「よくはないわね」
「だからね」
 それでだ。
「絶対に適度でね」
「あるべきよね」
「そしてクリスマスでも」 
 今日のこの日でもだ。
「楽しめばいいんだよ」
「ワイン飲んでケーキもね」
「食べていいよ、その人ケーキもね」
 昔は大好きだったのにだ。
「見ると怒る位なんだ」
「そこまで嫌いになっての」
「ケーキばっかり食ってるから太るんだよって言われてね」
 文字通りの心ない人にだ。
「それから食べなくなったんだ」
「そのこともトラウマなのね」
「他の甘いものもそうで」
 チョコレートもプリンもお饅頭もお団子もだ。そのケーキばかりと言った人は自分の言ったことを忘れていてその人に美味いケーキの店を紹介したらお前あの時僕にこう言ったな、と睨んで言い返された。
「見ると怒る位にね」
「嫌いになったのね」
「甘いものも食べていいよ」
 病気でもない限りだ。
「そうしていいんだよ、むしろね」
「甘いものを見て怒る位心が痩せている方がね」
「問題だよ、その人みたいになったら」
 本当にだ。
「悲しいからね」
「痩せ過ぎも問題ね」
「心の方もね」
「そういうことね」
「痩せることはね」
 このことはだ。
「何度も言うけれど適度にだよ」
「そして心には余裕ね」
「うん、そんな必死になって苦しみの中にいるよりは」
 その人のことをまた思った。 
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