高速道路の横にいて
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第一章
高速道路の横にいて
この時東京の国道沿いで家族でレストランを経営している尾上はるかは高校時代からの友人でOLをしている榊由美と一緒に自転車での旅行を楽しんでいた、それで旅行の帰りに山梨県と東京都の境の高速道路を二人で進んでいた時だった。
「ニャ~~~」
「猫?」
「猫がいるの?」
鳴き声を聞いて思わず自転車を停めて周りを見回した、すると。
二人が今いる高速道路の脇に白い子猫がいた、子猫はその場所でじっとしていた。郁恵はその猫を見て言った。背は一五〇位で金色にしている髪の毛をショートにしている。大きなあどけない目で眉は細くスタイルは普通といったところだ。由美は背は一六〇を超えていて黒髪を長く伸ばし後ろで束ねている。面長できりっとした眉で切れ長の睫毛の長い目をしている。胸はないが脚は長く奇麗なものだ。
「この子どうして高速道路に」
「親とはぐれたのかしら」
「それでもこんなところにどうして」
「あれじゃない?パーキングエリアの辺りに住んでいて」
由美ははるかに話した。
「それでなのよ」
「親とはぐれてなの」
「それでここにいるのよ」
「そうなのね」
「それでね、このままだと」
由美ははるかにさらに話した。
「この子車に撥ねられるかも知れないから」
「そうよね、放っておいたら危ないわね」
はるかも頷いた、そしてはるかはすぐに決断した。
「携帯でこの辺りの生きものを保護してくれるボランティア団体探して」
「そこに預かってもらう?」
「そうする?」
「それがいいわね」
由美ははるかの言葉に賛成した、そうしてだった。
子猫を保護するとそれでだった。
近所の保護団体の場所をスマートフォンで一緒に探しそのうえでそこに行った、すぐにそこにいるスタッフの人に事情を話すとだった。
スタッフの人は難しい顔で二人に答えた。
「今うちは人手不足で生きものの収容が一杯で」
「だからですか」
「この子はですか」
「はい、申し訳ないですが」
引き取れないというのだ。
「そうした状況です」
「そうですか」
「じゃあどうすれば」
「あの、お二人のお家は」
スタッフの人は自分の言葉に残念そうな顔になった二人に話した。
「どちらですか」
「はい、東京都です」
「私もです」
二人はすぐに答えた。
「東京といっても都内でなくて」
「二人共今日のうちに自転車でお家に着きます」
「ならお願い出来ますか」
スタッフの人の言葉は切実なものになった。
「この子は。私達が引き取れなくて申し訳ないですが」
「保護をしてですか」
はるかが応えた。
「そうしてですか」
「はい、助けてくれますか」
こうお願いするのだった。
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