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おぢばにおかえり

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第六十二話 二人乗りその三十一

「お付き合いはね」
「そうですよね、じゃあ将来は」
 阿波野君が調子よく横から言ってきました。
「どうなるか」
「頑張ってね」
「ちっちって超がつく位奥手だけれどね」
「応援するから」
「有り難うございます、それじゃあ」
「何がそれじゃあよ」
 阿波野君にお顔を向けて言いました。
「あのね、私は本当に結婚する人以外とはね」
「お付き合いされないんですよね」
「それで結婚してからもね」
 それからもです。
「その人とだけよ」
「そうされるんですか」
「一生ね、その考えは絶対だから」
「結婚してからは当然として」
 それでもとです、阿波野君は言いました。
「それまでもですか」
「もう結婚するって決めた人以外とはね」
 例え何があろうともです。
「お付き合いしないわよ」
「今時珍しい考えですね」
「そうでしょ、こんな考えだからね」
「ちっちって彼氏いないの」
「今時こんな考えだからね」
「それで誰もそうしたお付き合いはしないの」
「困ったことにね」
「困ったことじゃないわよ、私はね」
 ふしだらというか移り気というか。私はそうしたことは好きじゃないです。それで今も中学時代の友人達に言いました。
「いい加減なことは絶対に嫌だから」
「この娘小学生の時からこう言ってるのよ」
「真面目というか頑固というか」
「今時そんなこと言うの?って感じでね」
「もう恋愛は石頭で」
「他のことはそうでもないのに」
「どうにもならない位堅苦しいのよ」
 皆私ではなく阿波野君に言います。 
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