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救急車の中でも

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第二章

「弟には引き続いて店をやってもらっています」
「やっぱり働かないと飯食えないですからね」
「だからですね」
「そうしています、ですが」
 犬達を見ながら話した。
「この通りです」
「この子達はですか」
「いつも貴方と一緒なので」
「付き添ってくれてるんです」
「ワンッ」
「ワンワン」
 マリオもルイジもだった。
 アルペデスが救急車の中に運ばれるとそこに飛び乗ってきた、スタッフ達はそれを見てすぐに彼等を降ろそうとした。
「ここは救急車の中だよ」
「これから病院に行くからね」
「悪いけれど君達は連れて行けないよ」
「お家で待っていてくれるかな」
「クゥ~~ン・・・・・・」
「キュ~~ン・・・・・・」
 だが二匹共だった。
 切ない顔をしてアルペデスの傍から離れようとしない、じっと彼を心配そうに見てそのうえでスタッフ達を訴える目で見ている。
 その彼等を見てだった、アルペデスが言った。
「すいませんが」
「この子達をですか」
「一緒にですか」
「病院までお願いします」
 スタッフの人達に言った、そうしてだった。
 犬達はアルペデスの傍に救急車にいる間ずっといた、そうして。
 彼が病院に担ぎ込まれる間もずっと心配そうに見ていた。だがスタッフ達はその彼等に対して言った。
「安心するんだ、ご主人は助かる」
「命に別状はないからね」
「君達は待っていてくれ」
「彼はきっと戻って来るよ」
「クゥ~ン・・・・・・」
 二匹共心配そうでずっと病院の入り口で待っていた、だが。
 やがて夜になって店が終わって犬達を迎えにアルペデスの弟であるアルフォンソが来た、外見は兄に非常によく似ている。
 その彼が犬達に優しい声をかけた。
「帰ろうか、大丈夫だよ」
「ワン?」
「クン?」
「心配はいらないさ、待っているんだ」
 こう犬達に言うのだった。
「いいね」
「この子達をお願い出来ますか」
 病院の医師の一人が彼に対して問うた。 
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