ドリトル先生と不思議な蛸
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第一幕その七
「お話はその時でいいかな」
「実際にその蛸を見て」
「それでなのね」
「蛸を見付けて」
「その時で」
「そうしようね」
先生は動物の皆に言いました。
「今回は」
「わかったよ、けれど赤くない蛸なんて」
「そんな蛸もいるのね」
「ちょっと想像出来ないけれど」
「赤くない蛸なんて」
「蛸は赤いものだよ」
「それが蛸の色なのに」
こう言うのでした。
「茹でたら特に赤くなるね」
「それが蛸の色で」
「烏賊が白いのと同じで」
「蛸は赤い」
「そうじゃないの?」
「そうじゃない蛸もいるんだ」
先生の今の表情は穏やかですが真面目なものでした。
「これがね」
「世の中広いね」
「そんな蛸もいるなんて」
「赤くない蛸なんて」
「この世界にいるなんて」
「数はかなり少ないけれど」
それでもというのです。
「いるにはいるよ、そして実はね」
「実は?」
「実はっていうと」
「どうかしたの?」
「蛸が赤いというのは一つの固定観念なんだ」
それになるというのです。
「実はね」
「固定観念ね」
「もうそうだと思い込む」
「そんなものなんだ」
「蛸については」
「そう、烏は黒いということも」
この鳥のこともというのです。
「絶対かというと」
「違うの」
「黒くない烏もいるんだ」
「烏といえば黒だけれど」
「それでも」
「何億の中に一羽白い烏がいれば」
その時はというのです。
「そうじゃなくなるね」
「あっ、そうだね」
「言われてみれば」
「烏が黒いということもね」
「一羽でも白い烏がいれば」
「そうした烏がいれば」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
「蛸が赤いということもね」
「固定観念なんだ」
「そうとは限らない」
「決して」
「そういうことなんだ、そして実際にね」
蛸についてです。
「赤くない蛸もいるんだ」
「そうなのね」
「赤くない種類の蛸もいる」
「数は少なくても」
「それでも」
「このことを覚えておいていて」
そしてというのです。
「鳥羽に行こうね」
「うん、そうしようね」
「赤くない蛸もいる」
「世の中色々な蛸がいるんだ」
「蛸は赤いものと思っていたら」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
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