レーヴァティン
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第百九十一話 東国のことその七
「我々よりは遥かに少ないです」
「幕府よりは」
「それに船もな」
これもというのだ。
「我々は鉄甲船を持っているが」
「東国にはありません」
「一隻も」
「あの船も持っていない」
「このことも大きいですね」
「こちらは湖からも攻められる」
その鉄甲船も使ってというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「我々は陸からも攻め」
「湖からもですね」
「そちらからも攻めますね」
「そうしますね」
「そうだ、こちらは攻められる場所を選べる」
それも自由にだ、攻撃側の利点は何かというとその攻められる場所を自由に選べるということだ。そして防御側はその場所をどう選ばさせず自分達の望む場所に攻めさせてどう迎え撃つかが戦略なのだ。
「だからだ」
「それで、ですね」
「我々はですね」
「東国をどう攻めるか」
「それをですね」
「どう考えるかですね」
「そうだ、それを考えるとだ」
まさにというのだ。
「我々はな」
「今はですね」
「準備の時であり」
「攻めるものではない」
「左様ですね」
「そうだ、だからだ」
それでというのだ。
「いいな、今は政にだ」
「専念する」
「国を豊かにして」
「そして政の仕組みも整える」
「そうして戦の用意をする」
「その時期ですね」
「そういうことだ、まず関東を考えているが」
攻める場所はだ。
「しかしだ」
「それはまだ先である」
「決して今は攻め込まない」
「そうしておきますか」
「そうする、国境の守りは固めるがな」
あちらつまり東国から攻められない様にしてというのだ。
「しかしな」
「それでもですな」
「それ以上兵は動かないということで」
「ことを進めていきますな」
「その様にしていきますな」
「それではな」
こう言ってだった。
英雄は今は戦はしなかった、実際に政に力を入れて国を豊かにし政の仕組みも整えていった。そのうえで。
仲間達に対してはこう言った。
「国は豊かになってきているが」
「やっと軌道に乗ってきたな」
耕平が言ってきた。
「そんなとこやな」
「東海や北陸はな」
「甲信もな」
「やっとだ、だからな」
「まだやな」
「戦はしない」
こう言うのだった。
「まだ豊かさが増してだ」
「そしてやな」
「政の仕組みもな」
これもというのだ。
「より整えてだ」
「それからやな」
「動くことにする」
「まだ先やな」
「そうだ、慌てる必要はない」
今の浮島の状況を見ての言葉だ。
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