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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百四話 クリスマスケーキその十一

「それで亡くなる直前まで書いていたし」
「自殺するまでによね」
「市ヶ谷でね」
 自衛隊のあの場所に押し入ってだ。
「演説してそれでね」
「自殺したのよね」
「切腹してね」
「何か劇的ね」
「あの時代に生きた人だったんだろうね」 
 昭和というその時代にだ。
「昭和元年生まれだったから」
「それで昭和四十五年にだったわね」
「丁度学生運動の頃だったし」
 赤軍派や革マル派や中核派が暴れていた、正直この人達がどう違うのか僕には全くわからない。同じ暴力を肯定する極左組織でないだろうか。
「今あの人がいたらそうしなかったと思うよ」
「昭和のあの頃だったからなのね」
「自決したんだろうね」
 切腹という武士の仕方でだ。
「そうだろうね」
「そうなの」
「うん、ただ本当にあの人も顔立ちいいね」
「美形よね」
「男らしい感じでね」
 きりっとした感じでだ。
「女の人にはあまり興味なかったらしいけれど」
「もてる人よね」
「そうだったと思うよ、男の人にもね」
 武士道を目指してそちらにも造詣があったという。
「人気がありそうな感じだね」
「実際に人望あったのよね」
「気さくで鷹揚な人だったらしいからね」
「そうよね」
「気前もよくてね」
「いい人だったのね」
「そうみたいだね」
 伝え聞くところによるとだ。
「それで抜群に頭もよかったから」
「頭の回転も速かったみたいね」
「頭が良過ぎたっていう人もいるよ」
 ただ知識や教養があっただけじゃない、頭の回転も凄くてとにかく切れる人だったらしい。
「そこまでね」
「頭がよくて」
「もう沢山の人に人気がある人だったのね」
「そうみたいだね、若し長生きしていたら」
 この人もそうしたタイプでないと思うけれどだ。
「もっと沢山の作品残していただろうね」
「書き続けて」
「そうかもね」
 ただライフワークの豊饒の海を完成させて自決している、若しかするとあれ以降の作品は考えていなかったかも知れない。とはいっても藤原定家の作品を書こうかとか言っていたそうだから真実はわからない。
「そう思うと残念だよ」
「本当にそうね」
「時代がああさせたにしても」
「残念よね」
「あれをよくやったとか言う人いるらしいけれど」
 それでもだ。
「その作家としての凄さを思うとね」
「残念よね」
「演劇もしていたしね」
 映画で主演もしている。
「何かとしていた人で論客としても凄かったし」
「そうだったの」
「物凄い知識と教養で」 
 それこそ並の学者なんて像と蟻程違う位にだ。
「頭の切れも抜群だったから」
「論客としてもなの」
「凄かったから」
「天寿を全うして欲しかったのね」
「そう思って仕方ないよ」
 残念としか思い様がない。 
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