おっちょこちょいのかよちゃん
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125 秘密基地での誓約
前書き
《前回》
大野が転校するという噂を聞いて衝撃を受けた杉山は運動会以来の大野と喧嘩をしてしまう。体育館裏でそれぞれの石を使用して戦う二人だったが、かよ子や冬田、ブー太郎、まる子、たまえ、そして森の石松に阻止される。これ以上喧嘩するなら各々の石を没収すると宣言した石松に対し、大野は喧嘩をしないと誓うが杉山は石を捨ててしまう。かよ子は友達だった証として大野に雷の石を渡したのだった!!
オリジナルキャラ紹介・その7
濃藤徳崇(のうどう のりたか)
三河口のクラスメイトでアニメ「ちびまる子ちゃん」2期271話「ヒミツ基地乗っ取られる」の巻に登場したすみ子の兄。初登場8話。見聞の能力と防御特化の武装の能力を持つ。その場の運命を己の意志で操作できる運命の剣を振るう。ただし、異能の能力を注ぎ込まないと強力な効果は発揮できないので使用者の加減も必要な道具である。好きな食べ物は天丼、アメリカンドッグ。
三河口が通う高校。三河口は濃藤、北勢田、そして奏子と共にある事を確認し合う。
「さて、皆の所にも異世界からの手紙が来てたか。これは今まで以上の戦いになるな」
「ああ、あの・・・」
「なんだ、濃藤?」
「実は俺・・・、春から引っ越すんだ。転校する事になる」
「何!?場所はどこだ!?」
皆は驚いた。
「京都だよ」
「京都か・・・。遠いじゃねえか。兎に角、濃藤の転校の前までにこの戦いを終わらせる事にしよう!」
「うん!!」
四人は既に覚悟を決めていた。
放課後、かよ子達はあの秘密基地に行った。ブー太郎とまる子、冬田、そして長山も誘った。
「それにしても大野君が転校しちゃうなんて寂しいね」
「うん、今朝、それで喧嘩したんだ・・・」
かよ子は朝の出来事を長山に説明した。
「それで杉山君が怒ってその石を捨てちゃったんだ。私、大野君に渡したんだけど、大野君もそれが気に入らなかったみたいで・・・」
高台の秘密基地に到着した。今でも壊れる事なく立っている。
「この杉山君と大野君、ブー太郎、そしてまるちゃん達『次郎長』が造った秘密基地・・・。四人がもう一度ここに集まる事、あるかな・・・?」
「あって欲しいブー・・・」
その時、別の誰かが現れた。
「おうい、お前らもいたのか」
隣町の学校の組織「義元」の面々だった。
「あ、久しぶり・・・」
すみ子達から見てかよ子達は浮かない顔をしていた。
「どうかしたのか?」
山口が聞く。
「実は、大野君と杉山君が喧嘩したんだブー・・・」
ブー太郎が答えた。
「大野と杉山が喧嘩!?」
すみ子が悲愴に思った。
「そうなんだ、寂しくなるね・・・」
「あの、実はな、こっちも寂しい事が起きちまったんだ・・・」
「それって何だブー?」
川村が答えた。
「実は、すみ子も転校する事になっちまったんだ・・・」
「ええ!?」
「どこに転校するんだブー!?」
「・・・京都の方なの・・・」
すみ子は小声で答えた。
「京都お?遠いわねえ・・・」
「うん、だから、私・・・」
すみ子は少し泣きながら言葉を続けようとする。
「転校する前にこの戦いを終わらせたいんだ・・・」
「戦い・・・。じゃあ、すみ子ちゃん達の所にも異世界からの手紙が来たんだね?」
かよ子は確認した。
「ああ、俺達は行くつもりだぜ」
「オイラ達も行くブー」
「絶対に元の日常を取り戻そう!」
「うん・・・!!」
「ただ、問題は大野君と杉山君が喧嘩した事で、オイラ達、異世界でやって行けるか心配だブー・・・」
「大丈夫でやんす!オイラ達も協力して敵を倒そうでやんす!」
「そ、そうだなブー」
皆は誓い合った。異世界で戦争を正義とする世界を滅亡させる事、そしてこの日本を日本赤軍の思うがままにさせないという事を。
三木首相はこの三つの道具、杯、護符、そして杖を確認する。これを約束の日に赤軍に渡す予定でいる。無論これは平和を正義とする世界の人間から貰った偽物である。もし赤軍が偽物だと気づいた場合、自分達はどうなるのやら、そこまで予想する事はできなかった。
(どうか、この作戦、上手く言ってくれ・・・!!そして、絶対に戦争への道へは進ません・・・!!)
首相は約束の日が近づくにつれてソワソワするのであった。
かよ子は秘密基地のある高台から家に帰る。途中、三河口と遭遇した。
「お、かよちゃん」
「隣のお兄ちゃん」
「何かあったみたいだね」
「うん、実は大野君が東京へ転校しちゃうんだ・・・。それで朝、杉山君と喧嘩したんだ・・・」
「喧嘩?こんな大事な時に・・・。しかも、合唱コンクールの時に仲直りしたばかりなのにかよ」
「うん、だから、心配なんだ・・・」
「そうか、俺の友達の濃藤って奴も京都へ転校しちまうんだって。すみ子ちゃんも勿論転校だろうな」
「うん、さっきすみ子ちゃん達に会って聞いた・・・」
「かよちゃん、この戦い、遅くとも三月までには終わらせないと駄目だね」
「うん、私もそのつもりでいるよ・・・。後、絶対に元の日常を取り戻して、杉山君と大野君を仲直りさせるよ・・・!」
「おっちょこちょいしてでも果たそうね。それじゃ」
「うん、バイバイ」
お互いはそれぞれの家に入った。
「只今」
「お帰り、かよ子。そうだ、今度三連休でしょ?りえちゃん達が遊びに来るわよ」
「あ、うん、そうだったね・・・」
かよ子はあの杯の所有者の事を考えると共に夏休みに会った日々も思い出す。
(あの時か・・・。そう言えば杉山君、りえちゃんと喧嘩するくらい、仲良かったんだっけ・・・)
かよ子は所持者の少女が自分にとって恋敵でも会った事を思い出した。
(りえちゃんに、この事、話してみようかな・・・)
かよ子は再会を楽しみにすると共に彼女にも解決に協力しようかと考えるのであった。
平和を正義とする世界の本部。フローレンスとイマヌエルは政府に寄こした三つの最上位の道具の偽物を渡した事について成功を願っていた。
「フローレンス、政府が赤軍に『アレ』を渡す日と、見方をこちらに集める日、日程を敢えて重ねているが、向こうも気付いているんじゃないのかい?」
「その可能性もあります。ですが、どちらにせよ、赤軍はあの四つ全てを手にしまして向こうの世界に改造させますに違いありません。そうしましたら、勝ち目はなくなります」
「だろうね」
その時、その場に光が現れた。そして手紙が出現した。
「手紙・・・?」
フローレンスは手に取る。
「静岡県に派遣させています森の石松からですわ」
二人は手紙を読む。
フローレンス
イマヌエル
我が地で大変なことが起きた。「石」を持たせた大野けんいちと杉山さとしが喧嘩を起こした。大野けんいちが転校という別の地の学び舎へ行く事が発端となった。某は没収を警告したが、杉山さとしは彼が持っている雷の石を捨てた。なお、その石は杖の所持者である山田かよ子が大野けんいちに持たせている。この内紛をどう処遇すべきか、ご両人に意見を求めたい。
森の石松
「大野けんいち君と杉山さとし君が喧嘩だと!?」
「困りましたわね。山田かよ子ちゃん達もかなり感傷的になっていますでしょう・・・」
「兎に角、石松に返事を出さないとね」
「返事は私が書きますわ」
フローレンスが返事を引き受けた。
レバノンの赤軍本部。そして戦争を正義とする世界との出入口。房子はレーニンと会話する。
「レーニン様。もう準備は整いました」
「だが、偽物だったらどうする?」
「それはもうありません、たとえそうなりましても強行で奪い取ります。何しろ政府に宣告したのですから」
「解った。だが、『向こうの世界』も政府も所有者達も必ずしも指を銜えているわけではない事を頭に留めておけ」
「畏まりました」
奏子は帰宅中、ピアノの稽古に行く笹山と遭遇した。
「あ、かず子ちゃん、ピアノ?」
「うん」
「そうだ、かず子ちゃん、お姉さん変な事言うかもしれないけど、今度から異世界へ行くの」
「異世界へ・・・!?」
「うん、だから、藤木君をきっと探してきて連れて来て帰るからね」
「うん・・・。あの、お姉さん・・・」
「なあに?」
「私、藤木君に冷たくした事、謝りたいの・・・。それに、藤木君がいなくなったのも私のせいだって思ってるから・・・」
「そうね。きっと藤木君も寂しがってるわ」
「うん、じゃ、行ってきます」
「バイバイ」
笹山はピアノ教室へと向かう。奏子は今笹山に行った約束を必ず守ろうと思うのだった。
そして学校が休みの日になった。東海道新幹線の新大阪行きの列車が東京駅を発車した。
「皆、どうしてるかしら・・・?」
「きっと元気でいるわよ」
その新幹線列車の中には異世界の道具で最上位の能力を持つ杯の所有者・安藤りえが両親と共にいた。
そして大きな戦いの日は近づいて行く。
後書き
次回は・・・
「杯の所持者の再訪」
異世界の最上位の道具の一つ・杯の持ち主である安藤りえと再会したかよ子。そしてりえの家族を山田家に呼び寄せると共に、杖、護符、杯の先代の所有者が集合する・・・!!
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