自業自得の馬鹿一家
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四章
年老いた雌犬、薄茶色の垂れ耳で黒い首輪の彼女が自分と同じ外見の二匹の犬それぞれ赤の首輪と青の首輪の犬に懐かれていた、その犬達を見てだった。
玉生は愛子に優しい笑顔で話した。
「ハナコ今日も嬉しそうね」
「お母さんと会ってね」
愛子も笑顔で応えた。
「そうよね」
「よく愛子のお家に遊びに行ってね」
「それでよね」
「ええ、それでね」
「遊んでるけれど」
「お母さんのミナとね」
「それにね」
愛子は玉生がハナコと呼んだ赤い首輪の犬とだった。
青い首輪の犬を見た、そしてその犬の名前を呼んだ。
「ユキもね」
「ええ、三匹共幸せそうね」
「ワン」
「ワンワン」
「ワン」
そのハナコとユキはミナに甘えている、そしてミナは二匹を優しい目で見ながら相手をしている。それを見て玉生はこうも言った。
「理江にはわからないわよね」
「そう、犬は子供の時だけが可愛いんじゃないのよ」
「大人になってからも可愛くてね」
「外見もね」
「そして何より性格がね」
これがというのだ。
「本当に可愛いのよね」
「そうなのよね、愛嬌があってね」
「理江は性格なんて見向きもしなかったみたいだけれど」
「その性格がいいのよね」
「仕草もね」
「本当にいいから」
「だからずっと一緒にいたいわね」
二人で犬達を見つつ話した。
「ハナコとユキの他の兄弟達も元気だし」
「皆時々こうしてお母さんと遊んでるし」
「犬は本当に可愛いわね」
「その全部がずっとね」
二人で三匹を見て心から笑顔になっていた、それは彼女達にとっては最高の幸せだった。
自業自得の馬鹿一家 完
2021・1・21
ページ上へ戻る