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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百二話 エメラルドとルビーの街その十二

「僕はね」
「否定してるわね」
「自殺って残された人は凄く辛いからね」
「ご家族とかお友達が」
「うん、僕も知ってる人が自殺したことあるけれど」
 こうした経験は多くの人が不幸にしてあるんじゃないだろうか、人の死の中で自殺は確かにあるからだ。
「もうね」
「嫌な気分になったのね」
「これ以上はないまでにね」
「だからなのね」
「僕は自殺したくないよ」
 心から思っている。
「例えどんな事態になってもね」
「自殺しないことだね」
「絶望してもね」
 それでもだ。
「自殺したらね」
「残された人が辛いから」
「それに自分自身もね」
 自殺したその人もだ。
「絶望したまま死ぬとか嫌じゃない」
「そうして自殺する人やっぱり多いわね」
「人間絶対に死ぬけれど」
 それでもだ。
「楽しい状態で死にたいじゃない、借金や失恋や失業や病気や人間関係で悩んでも」
「色々あっても」
「自殺だけは駄目だよ」 
 香織さんに苦い顔で話した。
「絶望したまま死んだら」
「いい状況で死ぬことね」
「満足して死ねたら」
 所謂大往生ならだ。
「これ以上はないから」
「だからなのね」
「自殺はしたらいけないよ、まあ昔の人で切腹とかね」
「殉死とかでよね」
「そうして自殺する人はいたけれどね」
 日本が負けた時も多くの人が自決して国難に殉じている、僕はこの人達のことについて言うことは出来ない、言うには僕はあまりにも世の中のこと人の心のことそしてあの時のことがわかっていないと思うからだ。
「そうした人は別だよ」
「自殺といっても色々なのね」
「うん、けれど出来るだけね」  
 本当に思うことだ。
「生きるべきだよ」
「最後の最後まで」
「潔く死ぬことは確かにいいけれど」
 潔さ、このことは事実美しい。けれどだ。
「自殺はすべきじゃないよ、潔く諦めたり退いても」
「そうした時はあっても」
「自殺はね」
「しないで生きることね」
「無責任なこと言うかも知れないけれど」 
 悩み切ってもうどうしようもなくなっている人に対してだ。
「それでも生きるべきだよ」
「出来るだけ」
「ドン底の状況でもね」
 それこそ自殺する様なだ。
「事態は好転するから」
「だからよね」
「ある人は高校入ってすぐに告白して振られてね」
「うちの学校で有名なお話ね」
「けしかけた友達と思っていた連中は掌返しだったから」
 陸上部どころか学校きっての嫌われ者になっている二人だ。
「周りから囃されて親御さん達とも折り合いが悪くて」
「辛い状況だったのよね」
「けれどそんな人にね」
 もう四面楚歌の状況でもだ。
「傍にいる友達の人がいてくれて」
「素晴らしい彼女の人が出来て」
「今は幸せだから」
 逆に振った人やけしかけた連中が今では学校中から嫌われている、そもそも自分がけしかけて状況が悪くなったらすぐに掌返しをする奴等なんて誰も信用しない。 
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