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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十五話 陸遜、ふと見つけるのことその四

「この世と冥界をつなげてね」
「そこから死者を送り込むことが目的だったわね」
「そう。言うならば魔王だよ」
「魔王なのね」
「この世を滅ぼそうとするね」
「魔王としても悪質な部類ね」
 ここで荀諶も言った。彼女も共にいるのだ。楓だけでなく他の四霊の面々もいる。彼等は書庫の整理の合間にその中で話をしているのだ。
 書が揃えられた棚に囲まれ背にしながら。彼等は話していく。
 その中で荀諶は言うのだ。
「これはオロチにも言えることだけれど」
「それと朧じゃな」
 翁の目が光る。彼はここでも亀に乗っている。
「あの者もな」
「あいつは何者なの?」
 荀彧が真剣な目で翁に問う。
「刃を空に飛ばして戦っていたけれど」
「刀馬の話ではだ」
 示現が話す。
「やはりこの世を害せんとする者らしい」
「それがあいつなのね」
「その様だ」
「まあ。一見して普通じゃないっていうのはわかるけれど」
「かつては忍だった」
 示現はこのことも話した。
「半蔵殿と因縁があったそうだ」
「半蔵と?」
「左様。何でもかつては伊賀者だったそうだ」
「その通り」
 ここでだった。影の中からだ。
 その半蔵が出て来てだ。彼等に話すのだ。
「あの者はかつては伊賀の忍だった」
「それであれなのね」
 荀彧は半蔵のその話を察して言葉を返した。
「どうせ謀反とか考えて。忍を抜けてなのね」
「左様、幕府の転覆を企てた」
「あんた達の世界で言う漢王朝よね」
「そうしたところだ。それを企てた為」
「あんたが成敗しようとしたのね」
「だが逃げられた」
 それはだ。果たせなかったというのだ。
「残念なことにだ」
「話はわかったわ。けれどあいつは」
「妖術をも身に着けた」
「それがあの刃」
「そういうことになる。あの力はあってはならない力」
「アンブロジアとかそういった連中の力ね」
 荀彧はその鋭い頭脳を活かしてだ。こう察してみせた。
「それよね」
「そうだと思う。あの者は秩序を嫌うようになった」
「混沌ね」
「破壊と殺戮」
 そしてさらにだった。
「そして混沌だ」
「それをこの世界でやろうとしているってことね」
 荀諶もここでその洞察を見せた。
「迷惑な話よね」
「それだけこの世界が特異ということだ」
 書の棚に背をもたれかけさせ腕を組んでいる嘉神が言った。
「そうした存在を集めてしまうのだ」
「あんた達の世界に揃っていた連中が」
「そうだ。そして話を戻すが」
「その司馬尉よね」
「あの者は油断ならん」
 嘉神もだ。こう言うのだった。
「間違いなくよからぬことを企てている」
「謀反?そしてよね」
「おそらくこの世界を破壊しようとしている」
 そうだとだ。荀諶に話すのである。
「そして魔性の国を築こうと考えているだろう」
「魔性のね」
「常世やオロチの世界だ」
 そっくりそのままの。そうした世界だというのだ。
「そうした意味であの女と刹那やオロチの思惑は一致しているのだ」
「それじゃあ」
 楓はその嘉神に問うた。
 
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