おぢばにおかえり
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第六十二話 二人乗りその十
「よくここに来たの」
「そうですか」
「女友達とね」
凄くいい思い出です。
「そうしていたの」
「彼氏の人じゃなくて」
「もてないから」
そんなことは一度もなかったです。
「男の子の友達は多いけれど」
「そうですか、それはよかったですね」
「何でいいの?」
「僕にとって」
「またわからないこと言うわね」
「あくまで僕個人のことで」
それでというのです。
「よかったなって思ってます」
「何がいいのかしら」
そこが本当にわかりません。
「全く、とにかくここはね」
「女の人のお友達とですね」
「よく行って」
その時のことを思い出しながらお話しました。
「遊んだりね」
「こうしてくつろいでいたりですか」
「そうしていたわ」
「そうですか、それで今は僕とですね」
「そうね、一緒ね」
何か今一つ新鮮な気持ちではなかったです、普通の感じでした。
「男の子と一緒にいるのってはじめてかしら」
「これまでで」
「ええ、少なくとも覚えている限りじゃね」
小学校から高校までです。
「そうよ」
「そうなんですね」
「何か男の子と二人きりになる機会ってなかったの」
「先輩交流広いのに」
「地元に天理教にね」
両方で、です。私は子供の頃から友達と言っていい人がいます。
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