戦国異伝供書
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第百二十話 三州奪還その九
「また鉄砲を使ってじゃ」
「遠慮なく攻めましょうぞ」
家久が威勢よく言ってきた。
「そうしましょうぞ」
「その時はな」
「それではその用意もしておきますな」
「その攻める姿を見せるだけでもじゃ」
「敵は見ますので」
「効果がある、だからな」
それ故にというのだ。
「その用意もするぞ」
「わかり申した、では」
「手は全て打ち」
そしてというのだ。
「日向を手に入れようぞ」
「それは見えてきました」
「いよいよ」
「そうなりましたな」
「だからそれは逃さぬ」
絶対にというのだ。
「よいな」
「はい、それでは」
「戦の用意もし」
「使者を送りましょうぞ」
弟達も応えてだった。
島津家は伊東家の城全てに使者を送った、すると高原城のことを知っていた伊東家の者達は雪崩の如く島津家に降り。
四十八あるとさえ言われた伊東家の城は全て降った、そして伊東義祐は進退窮まり主な身内や家臣達と共に豊後の大友家を頼って落ち延びた。
これにより島津家は日向も取り戻した、すると肥後でも島津家に降ろうという動きが見られた。それを見てだった。
義久は内城に戻って三国の政をはじめようという時に肥後のことを聞いて家臣達に問うた。
「わしは三国だけでいいと思っておったが」
「それが、ですな」
「肥後まで、ですな」
「あの国からも島津家につこうという者が出てきましたな」
「ここにおいて」
「そうなってきましたな」
「これは考えておらんかった」
義久としてはだ。
「まさかである、しかしな」
「はい、降るというからには」
「無礙には出来ませぬな」
「我等としては」
「左様ですな」
「だからな」
それでというのだ。
「その者達をどうするかじゃ」
「肥後も何かとありますしな」
「相良家や甲斐家があります」
「どの家もそれなりの家です」
「中々の強さです」
「どうするかじゃ、肥後のことはな」
どうにもというのだ。
「じっくり考えたい」
「兄上、肥後だけでなくです」
義弘が鋭い目になり言ってきた。
「日向のことですが」
「大友家がであるな」
「伊東殿が頼られて」90
その大友家をというのだ。
「是非日向をと言っておられるとか」
「それを大友殿が聞かれてな」
「日向に来れば」
「日向は当家の国である」
義久の返事は5強いものだった。
「そのことは変わらぬ」
「左様でありますな」
「その日向をようやく取り戻したのじゃ」
「ならばですな」
「大友殿が日向に来られるならな」
「戦いまするな」
「うむ」
絶対にというのだ。
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