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戦国異伝供書

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第百二十話 三州奪還その四

「そう言われています、ですが」
「それはな」
「戦の仕方次第であります」
「そうであるな」
「事実織田家ではです」
「雨でもな」
「傘を指すなりして使うこともありますな」
「そしてな」 
 そのうえでとだ、義久も応えて話した。
「弾を込める時間もな」
「三段で交代で撃ってでしたな」
「それを補った、だからだ」
「戦の仕方次第で」
 まさにというのだ。
「変わります、ですから」
「鉄砲は実際に使える」
「そうかと」
「織田家は鉄砲を買い占める程揃えてです」
 義弘はこう言った。
「武田家や上杉家、毛利家や北条家にです」
「あまり渡らない様にしたな」
「どの家も使えるとわかっていました」
 鉄砲が凄いものだとだ、信玄達がそうしたことがわからない筈がなかったのだ。だから彼等も鉄砲は手に入れたかったのだ。
 だが信長はそこでどうしたかというと。
「しかしです」
「鉄砲鍛冶達を囲ってな」
「織田家の鉄砲を造らせてです」
「堺の鉄砲も買い占めた」
「そうされた程です」
「織田家の兵は弱いという」
「はい」
 実際にとだ、義弘は答えた。
「そのことは天下に知られています」
「尾張に上方とな」
「弱兵ばかりで」
「普通に戦うとな」
「勝つことは難しかったです」
「そうであるな」
「ですが具足をよくし」
「長槍にな」
 そしてというのだ。
「鉄砲を備えて」
「天下を制しました」
「それを見るとな」
「はい、鉄砲はよいものです」
「まさにな」
「薩摩隼人が鉄砲を持ったからには」
 歳久は言った。
「鬼に金棒となります」
「まことにな」
「ですからこれからも鉄砲を使い」
 そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「戦ってな」
「勝手いくことです」
「それがよいな」
「まさに」
「うむ、ではな」
「高原城攻めでも」
「使っていくぞ」
 その鉄砲をというのだ。
「そうするぞ」
「さすれば」
「さて、ではな」
「はい、明日の朝には」
「出陣じゃ」
「そうして戦いまするな」
「では橙の旗を掲げ」
 家久は楽しそうに話した。
「出陣しましょうぞ」
「この内城からな」
「では」
「もう肥後への備えはした」
「はい、そちらは」
「もう大丈夫じゃ」
「ではですな」
「高原城じゃ、あの城を落として日向もな」
 この国もというのだ。 
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