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もう一つの"木ノ葉崩し"

作者:ぬんすち
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第三話―襲来

「はっ!!」

「はあっ!」

カッ!!
ガッガッガッガッガッ!!!

両者一歩も譲らぬ,体術の応酬が繰り広げられている。

バッ!シュッ!シュッ!

一方が一度距離を置き,腰のホルスターから取り出した手裏剣を投げつける。

「甘いぜ猿飛!」

キン!キン!

しかし,もう一方もクナイを取り出して手裏剣を弾く。

「だったらこれならどうだ!食らえ,手裏剣……」

シュッ!

一方は,再び手裏剣を投げる。

「ふっ,何が変わったってんだ?」

もう一方は余裕の表情で手にしたクナイを構える。

バッバッバッ!

「……影分身!!」

しかし,印を結んで術を唱えると,投げられた手裏剣が複数に増える。

「!?」

「へっ,俺の新術だ,ダンゾウ!」

それならばと,ダンゾウはクナイにふっと息を吹きかける。

風遁を纏ったクナイを一振りすると,複数に分かれた手裏剣がことごとく真っ二つに割れる。

「やっぱり甘い!」

しかし,クナイを振り切った一瞬のスキを付き,ヒルゼンは一気に距離を詰める。

バッ!

「しまっ……!」

ヒルゼンはクナイを持つダンゾウの手を抑えつけつつ,目の前に自らのクナイを突き付ける。

「へっ,勝負あったな!」

「チッ,次こそは勝つからな!」

ヒルゼンは倒れたダンゾウを起こしながら,ダンゾウと共に和解の印を結ぶ。

猿飛ヒルゼン,そして志村ダンゾウ――親友であり,かつ高め合うライバルでもあるこの二人は,後に木ノ葉の中核を担う存在となる。

「精が出るな,ヒルゼン,ダンゾウ。」

そこへ,一人の男が声をかける。後ろに下した長い髪,その眼は奇妙なほど美しく白い。

「タイヨウさん!」

「タイヨウさん!」

「忍組手とは,なかなか懐かしいことをするじゃないか。お前たち,もう二十歳だろう?」

その男,日向一族の次期当主・日向タイヨウ。後の日向ヒアシ,ヒザシ兄弟の父であり,日向一族の長老たる存在になる人物である。
※原作第105話にて登場。名前は本作オリジナル。

「しかし我々は忍としてまだまだ力不足。もっと己を磨かねばなりません。」

「はい,その為にはこうして実戦形式で高め合うのが一番かと思い……。」

ヒルゼン,ダンゾウの二人にとって,タイヨウは気軽に話せる同世代の忍であり,かつ頼れる先輩でもあった。

「うむ,確かに基本に立ち返るのは良いことだな。自分の長所と短所を客観的に見つめ直す手段として,組手に勝るものはない。……ところで話は変わるが,これからカガミの所へ行こうと思うのだが,一緒に来ないか?」

「カガミですか?」

予期していなかったタイヨウの提案に,ダンゾウは少し驚く。ヒルゼンも同じ反応だ。

「ああ,今回の件で,アイツも同じうちは一族として気に病んでいるだろうと思ってな。うちはというだけで,肩身の狭い思いをしているところもあるかもしれん。」

「もちろん行きます。一族なんて関係ありません。あいつも,何度も一緒に任務をこなした大事な仲間です。」

タイヨウの意図を理解したヒルゼンは,即座に返答する。その隣でダンゾウも頷く。

「よし,決まりだな。じゃあ……」


その時――





ドン!!!



「!?」

「!!」

「何だ!?」

突如,凄まじい爆音が響き渡る。地面にも衝撃が走り,かすかに揺れる。

「何だ,今のは……。」

「あっちの方角ですね。」

ヒルゼンは音がした方向を指す。

「よし……,白眼!」

タイヨウはヒルゼンが指した方向に目を向け,瞳術を発動する。

「あれは……!!」


~~~~~


「……!結界に反応あり!侵入者を感知しました!」

「!」

「数は数十名!次々に侵入してきます!場所は北口のA地点!」

「行くぞ!」


~~~~~


ガチャッ!!

「扉間様!!」

「分かっておる……。来たか。」


~~~~~


「サイゾウ!」

「ああ,行くぞ!」


~~~~~


ゴゴゴゴ……

「ゆれる……あるきにくい……。ここ?……"き"……"の"……よめない。」


~~~~~


「やはり,あなたも予感していたようね……九尾。あなたと同じチャクラを持っている……彼らは一体,何者なの?」

「それを教えて何になる?」

「いがみ合っていても何の解決にもならないわ。私が死ねば,あなたもただでは済まない。」

「けっ,てめえの命で脅しをかけるやつがどこにいる……。」

「力を貸しなさい。」


~~~~~


「なんだ,今の衝撃は……。」

ギンッ!

「写輪眼!」


~~~~~


「へっへっへっ……さあて,思う存分暴れてやるぜ!なあ銀角!」

「おうよ金角!」

里に侵入した金角と銀角は,部下たちに向かって命令を出す。

「てめえらも遅れをとるんじゃねえぞ!手当たり次第に殺せ!壊せ!」

「はっ!」

「散っ!!」

バッバッバッバッ!!

数十人の雲隠れの忍たちが,あちこちへ散っていく。

「まずはいっちょ……挨拶でもしてやるか!」

ダンッ!

金角は一度大きく跳び上がり,上空から猛スピードで地面に向かって落下していく。

「ふん!」

そのままの勢いで,組んだ両手を地面に叩きつける。

ドン!!!!

凄まじい爆音とともに激しく地面が揺れ,大きな亀裂が走った。

「やるぜ!」 
 

 
後書き
お読みいただきありがとうございます!
猿飛ヒルゼンと志村ダンゾウ,いずれもこの当時20歳です。
うちはカガミもほぼ同い年くらいで,日向タイヨウは22~23歳くらいをイメージしてます。

ついに始まった木ノ葉襲撃,木ノ葉の忍たちは里を護ることができるのでしょうか……? 
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